ユドヨノ大統領の 日本訪問
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日本インドネシア共同宣言 1. 2005年6月2日、東京において、日本国小泉純一郎内閣総理大臣及びインドネシア共和国スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領は、詳細に討議を行い、両首脳が、より緊密で強固な二国間関係を促進し、また、急速に変化する国際環境の中で、共通のビジョンを共有する両国が新たな挑戦へのパートナーとして緊密に協力できるよう、二国間関係を新たな高みに引き上げるとの両首脳のコミットメントを再確認した。 2. (新たな挑戦へのパートナー) 両首脳は、日本及びインドネシアが、相互信頼、及び、民主主義・人権、寛容、法の支配、平和の希求、開かれた経済の諸原則といった一連の共通の価値観に基づく強固で長きに亘る関係を数十年にわたり促進してきたことを想起した。インドネシアにとって、日本は貿易、投資及び開発支援において最も重要なパートナーであった。日本にとって、インドネシアは、アジアにおける政治的及び経済的重要性に鑑み主要なパートナーであった。 3. (地震及び津波) 2004年12月26日にアチェ及び北スマトラで発生した壊滅的な地震及び津波、また2005年3月28日のニアス及び周辺諸島での再度の地震により、インドネシア及び日本の国民は深い衝撃を受けた。ユドヨノ大統領は、日本国民及び日本政府により提供された、寛大な、迅速で心のこもった支援に対し、二国間の関係の緊密さの真のあかしとして、感謝の意を表明した。この点に関し、ユドヨノ大統領は、日本の財政的支援を迅速にかつ効果的に活用するとの決意を表明した。小泉総理は、アチェの復興に対する支援を継続することについての日本のコミットメントを改めて表明した。 4. (新たな挑戦のための4分野) 二国間の協力を強化するため、両首脳は、以下の文書に詳述される、当面の協力のための4つの関心分野を特定した。 5. (改革及び開発) 小泉総理は、ユドヨノ大統領のリーダーシップの下で開始されている政治、経済及び社会面での諸改革に対する強固な支持を表明した。また小泉総理は、日本が、インフラ整備、貧困削減及び良い統治のための支援を政府開発援助(ODA)及び民間資金を通じて行うことにより、インドネシアの開発努力を支持し続けること、並びに、投資環境を改善するためのインドネシアの努力についても支持することを述べた。ユドヨノ大統領は、インドネシアにおける日本の投資の量は、より良いビジネス環境の結果倍増するとの期待を表明した。ユドヨノ大統領は、このような前向きな動きは中小企業にとっても利益になると述べた。両首脳は、日本からインドネシアへの投資の流れが増加する結果、両国間の経済関係がより強固なものになれば、インドネシアの加速化された経済成長及びより大きな繁栄につながるとの共有された期待を表明した。 6. (人と人とのふれあい) 小泉総理及びユドヨノ大統領は、より良い相互理解を通じ二国間関係を拡大し深化させるとのコミットメントを再確認した。探求される潜在的分野の中には、文化面・教育面での交流及び観光がある。 7. (賢人会議) 両首脳は、賢人会議の設立を再確認し、また、同会議が、政治、経済、文化、教育及び観光を含む諸分野における新たなイニシアティブを通じ、二国間関係を更に拡大及び深化させるための方法に関する戦略的勧告を両首脳に提出する重要性を強調した。両首脳は、共同議長の任命を含む、同会議を早期に設立するための必要な手続を促進することを決定した。 8. (インドネシアの領土の一体性)インドネシアにおける分離主義者の運動に関し、ユドヨノ大統領は、特別自治法の実施を含む事態の進展を説明した。小泉総理は、インドネシア共和国の主権及び領土の一体性を日本が完全に支持していることを再確認し、アチェに関し対話を通じて平和的解決を求めるとのインドネシア政府の最近の努力を日本政府が引き続き支持すること表明した。 9. (国際場裏における新たな挑戦への直面) (1)両首脳は、日本及びインドネシアにとって、両国の外交政策をより効果的に実施するため、地域及び国際社会が関心を有する諸問題において、より積極的に協力及び調整を行う可能性を探求することがますます重要になりつつあるとの見解を共有した。 (2)両首脳は、地域の安定及び成長に貢献する東アジア協力の、開かれた、透明で、包含性のあるビジョンを共有した。この目的のため、両首脳は、東アジア首脳会議の成功及び東アジア共同体(EAc)の実現に向け努力するとのコミットメントを改めて述べた。 (3)両首脳は、2005年4月23日にジャカルタで開催されたアジア・アフリカ首脳会議の重要性を強調し、首脳会議において採択された新たなアジア・アフリカ戦略的パートナーシップ(NAASP)が、アフリカ開発会議(TICAD)のイニシアティブとともに、2つの大陸間の強化された協力を促進するであろうとの見解を共有した。 10. (国境を越える犯罪及びテロ) 両首脳は、テロ、海賊、武器の密輸、資金洗浄、不法薬物取引、人身取引、コンピューター犯罪並びに国際経済犯罪等の国境を越える犯罪、及び、疾病の発生等の非伝統的な安全保障上の脅威と闘うことに関する協力を強化することの必要性を認識した。両首脳は、関係機関の間で、情報交換を含め、より緊密なパートナーシップを構築することを通じ、協力を強化することの重要性を強調した。小泉総理は、テロとの闘いにおけるユドヨノ大統領のリーダーシップを高く評価し、この点で対処能力向上のため引き続き支援していくことを表明した。 11. (違法伐採との闘い) 両首脳は、2003年の共同発表及び行動計画に包含されている、法令順守の検証のためのシステム開発を含め、違法伐採及び違法に伐採された木材および木材製品の取引との闘いに関する協力を強化する必要性を再確認した。両首脳は、アジア森林パートナーシップ(AFP)及び国際熱帯木材機関(ITTO)が、この問題に関する地域的及び多国間の協力にとって良い基礎を提供することを認識した。
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