地方教育行政改善計画

実施期間 :
    2004-2008

実施場所 :
    ジャカルタ、中部ジャワ州ブレベス・ぺカロンガン、北スラウェシ州ビトゥン市、バンテン州セラン・パンデグラン

案件概要 :
本案件は、開発調査「地域教育開発支援調査」 のパイロット県で成果が確認された住民・学校提案型の教育改善事業を、さらに面的に拡大することを目的として実施。 インドネシアは2008年に9年制義務教育(小学校6年+中学校3年)の完全達成を目指しているが、1990年代後半のアジア経済危機の影響もあり未だ中学校総就学率は72%にとどまる(2000年推定、国民教育省資料)。また、政府は2001年に行政全体を地方分権化し、中学校教育行政も中央から県に移管されたが、十分な移行準備過程なく進められたため、各学校へ配分される教育予算が急減し、行政官・校長・教員間で権限が混乱し学校運営に支障が生じる等、地方の教育行政が 適切に機能していない状況にある。

このため、中学校就学の地域格差是正や教育内容の質的向上などの重要課題に対し県政府が取り組むための効果的な地方教育行政体制の確立が急務である。インドネシアの教育行政分権化に対し、日本はこれまで、開発調査を実施し、「教育開発のプライオリティは当事者(住民・学校)が 一番知っている」とのコンセプトのもと各コミュニティや学校の個別ニーズに柔軟に対応するべく、住民/学校主体の教育改善モデル(通称REDIPモデル)の開発と試験的導 入を支援してきた。REDIPモデルの具体的特徴は、(1)郡中学校開発委員会 の設立と(2)プロポーザル方式教育事業 である。同モデルをパイロット地域に導入した結果、親やコミュニティの中学校教育への関心が飛躍的に高まり、アクセス・質両面に係る顕著なインパクトが生じた。REDIPモデルの有効性を認識した開発調査の対象県政府は、同モデルを県教育行政に組み込み継続的に実施する方針であり、県教育予算の確保を進めている。中央政府(教育省)も「当国の現状に非常に適した教育支援」として上記事業を高く評価している。

しかし、本モデルを県教育行政官が真に自律的に実施していくためには、更なる行政能 力強化と経験の蓄積が必要である。また、開発調査で対象としたのは中部ジャワ州、北スラウェシ州内の一部の県であり、REDIPモデルの地域的拡大を図ることは今後の課題である。そのため、(1)開発調査サイトにおける県教育行政官の計画・監理能力強化、(2)中学就学率の低い他地域に対する本モデルの展開について本プロジェクトは推進している。