IBEKA(地域住民を重視した事業・経済研究所)- 農村開発のための小規模社会基盤提供するNGO -
トゥリ・ムンプニ(プニ)氏
インドネシアの電化率は他国と比べて低く(54%)、多くの地域では、いまだ電気が通っていないため暗闇の中での生活を余儀なくされている。IBEKAは、こうした地域で住民参加型の小規模水力発電施設の建設を実施することで、地域住民の生活向上能力の育成を図っている。
IBEKAの活動は、日本の草の根無償資金協力による支援を受けてきた。草の根無償資金協力は、金額は比較的小さい(10万米ドル以下)が、資金が直接に、またはNGOを通じて、地域住民に届くという特徴がある。この仕組みは、地域住民に柔軟で直接的な利益をもたらすため、大変有効である。NGOや地域住民は、電化、上水道供給、学校建設などの地域の様々なニーズに基づいて、資金を適切に使用する責任を自ら担うことになる。
1996年、IBEKAは日本政府から草の根無償資金協力を受け、西スマトラ州ソロック、シマナウ村で小規模水力発電施設の建設を実施した。この支援を通じて、IBEKAは対象地域住民と協力し、小規模水力発電施設の計画・建設を行った。また、発電施設管理の研修も行った。このプロセスを通じて、村の住民は彼ら自身で発電施設を管理・運営できるようになった。更に、水を灌漑に利用したり、余剰電力を国営電力(PLN)に販売して得た利益で診療所を建てたりすることで、地域の社会基盤が改善した。今日も、その小規模水力発電施設はフルパワーで稼動しており、地域の重要な収入源になっている。
日本のODAは、経済活動を促進するための発電所や道路、鉄道といった大規模な社会基盤の整備を支援するだけでなく、小規模水力発電施設の導入、小規模な橋梁の建設、上水道の整備、地域レベルでの学校建設といった農村部の小規模プロジェクトを実施することで、地域住民の福祉を効果的に向上させてきた。こうした小規模プロジェクトは、住民参加型のアプローチを採用し、地域住民のエンパワーメントを図ることでいっそう効果的なものとなる。IBEKAは、住民参加型の農村部開発に対する日本政府の支援に対して感謝している。
 |
 |
身体障害を持ったオペレーター(右)に、地域を電化するためにどのように小規模水力発電機を管理・運営しているのかをインタビューしているところ。(プニ氏、左)
(西スマトラ州ソロック南部のパニンジャウアンにて) |
1996年に日本政府からの草の根無償資金協力を受け
小規模水力発電建設を行った村の住民と。
(西スマトラ州ソロックのシマナウにて) |