各分野での日本のインドネシアに対する経済協力の紹介
運輸分野

インドネシアにおける交通・物流ネットワーク整備への支援

  1. インドネシア交通ネットワークの現状と課題

    インドネシアは、17,000以上の島々が、東西約5,000km(アメリカ合衆国とほぼ同じ)、南北約1,900kmにわたり広がる世界最大の島嶼国家であり、人口は2億人を超え(世界第4位)、そのうち半数以上が全国土面積の約7%に過ぎないジャワ島に集中しています。インドネシア国の均衡の取れた経済・社会発展には、広大な範囲にまたがる島々を結びつけるとともに、人口が集中するジャワ島内、特にジャカルタ首都圏の効率的な交通ネットワークの整備を進めることが大きな課題となっています。特に近年は、政治経済が集中するジャカルタ首都圏における渋滞が深刻化しており、一層の海外投資の誘致を促し経済成長を遂げるため、空港や港湾から工業集積地への物流の改善、公共交通機関の整備が求められています。

    島嶼間の交通・物流は航空及び内航海運、ジャワ島内では鉄道、高速道路及び一般幹線道路、ジャワ島以外の島嶼内では一般幹線道路が、概して主要な役割を担っています。日本としては、インドネシアが進める交通ネットワークの整備に対して、円借款を通じて、主にジャカルタ首都圏の交通渋滞緩和及び物流改善、主要都市間の交通ネットワーク整備といった観点から重点的に支援しています。

  2. ジャカルタ首都圏の交通渋滞緩和及び物流改善への支援

    渋滞が深刻化するジャカルタ首都圏において、日本は従来から通勤などのための近郊鉄道、高速道路、道路交通のボトルネックとなる交差点でのフライオーバー建設を支援してきました。古くは、ジャカルタのランドマークである「スマンギ交差点のフライオーバー化」、「メラク高速道路」、ボゴールに向かう「ジャゴラビ高速道路」、ジャボタベック機構鉄道ネットワークの整備、近長距離列車のターミナルとなっている「ガンビール駅及び周辺区間の高架化」などが挙げられます。

    近年は、インドネシアで初めての地下鉄事業となる「ジャカルタMRT事業」への支援を開始し、ジャカルタ首都圏の新たな公共交通ネットワークの整備に向けた支援を開始しています。MRT事業において、日本の技術や経験を大いに活用しインドネシアの首都として相応しい快適かつ安全な地下鉄を実現するとともに、公共交通システムへのモーダルシフトを実現するためショッピングなどの商業活動やビジネス機能を兼ね備えた新しい「駅」のコンセプトを紹介することを通じ、新しいジャカルタの街の在り方について提案及び支援をしていきたいと考えています。

    都市高速鉄道システム(MRT)路線図

    また、ジャカルタ東部の工業集積地とタンジュンプリオク港の物流の改善のため、「タンジュンプリオク港アクセス道路(ジャカルタ第二外環道路の一部)」、「タンジュンプリオク港の改修」、工業集積地周辺の道路改善を支援しています。こうした支援を通じ、インドネシアが外国の投資家にとっても魅力的な投資先となり、生産性向上、雇用創出を通じた所得水準の向上に貢献しています。

    タンジュンプリオク港アクセス道路完成予想図

  3. 主要都市間の交通ネットワークの整備

    人口密度が高く大中都市が集中するジャワ島内において、効率的な都市間輸送を図るためには、道路及び鉄道の陸上交通の輸送力強化を進めることが重要です。鉄道では、ジャカルタとスラバヤの二大都市と主要な中間都市を結ぶジャワ幹線鉄道がありますが、現在その複線化が進められています。日本はこのうち円借款を利用してジャカルタからジョグジャカルタの一部を除く区間の複線化の整備を支援しており、これにより既に開業しているジャカルタ・チレボン間では鉄道輸送の時間短縮が実現しています。現在インドネシア側で「トランスジャワ高速道路」が並行して整備されようとしていますが、日本として、ジャワ島内の主要都市を結ぶ鉄道路線の輸送力拡大及び安全性向上への貢献を通じ、ジャワ島内の交通輸送の一層の改善への取り組みを行っています。

    島嶼間の主要都市を結びつけるため日本としては、円借款を利用して空港整備への支援を行ってきました。インドネシア第2の都市の「スラバヤ空港」、スマトラ南部及び西部の主要都市である「パレンバン空港」、「パダン空港」、カリマンタン島の主要都市である「バリクパパン空港」、それにインドネシアの二大ゲートウェイの一つである「バリ国際空港」への支援です。また、ジャワ島とスマトラ島を結ぶ「メラク・バカウニ間フェリーターミナル」への支援を行い、主要輸送ルートのフェリー輸送の確保・拡大にも貢献しています。


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