各分野での日本のインドネシアに対する経済協力の紹介
保健・衛生分野

日本のインドネシアに対する保健・衛生分野の支援~母子保健

母子手帳を持って妊産婦検診を待つ妊婦達(北スラウェシ州)

妊産婦の健康の改善、乳幼児死亡率の削減はミレニアム開発目標(MDGs)に盛り込まれている重要な目標です。インドネシアの妊産婦死亡率と乳児死亡率は、近年低下の傾向にありますが、2002年においてもそれぞれ 307人(対出生10万人)、35人(対出生1,000人)と依然高い状態が続いています(実は、我が国も、昔は現在の開発途上国と同様の保健状況でしたが、その後、(健康手帳)母子健康手帳を通じて健康一般について母親の知識を高め、地域保健システム強化を進めたことによって、妊産婦死亡率、乳幼児死亡率を大幅に改善した経験を有しています。因みに我が国では、現在、妊産婦死亡率が 5.7、新生児亡率が 1.3)。

また、日本はJICAを通じて1989年から「家族計画・母子保健プロジェクト」(~94年)を行い、中部ジャワ州をモデル地区として妊産婦・乳幼児に対する保健衛生の質の向上、それを支援するサービスの強化に力をいれてきました。そのプロジェクトの中でJICAの研修生として日本を訪れた州保健局の担当官(インドネシア人医師)の目にとまったのが日本の母子健康手帳でした。母子健康手帳(母子手帳)は、妊娠した女性(妊産婦)が安心してお産をし、子育てをできるようにするための手帳です。妊産婦の検診や乳幼児の予防接種、子供の成長を記録するとともに、妊娠や出産に関する日常生活上の注意や子供の健康、栄養などについての情報が書かれている、出産や育児の手引きと記録を兼ね備えたものです。これは日本独特のもので、母子手帳の普及によって乳幼児や妊産婦の死亡率が低下するなど、日本の母子保健水準の向上に重要な役割を果たしてきました。州保健局の研修生は日本で有益に活用されている母子手帳をインドネシア国内で普及させることにより、お母さんと生まれてくる赤ちゃんが安全で健康な生活を送れるようにと考え、「インドネシア版母子手帳」の開発が進められることになったのです。

中部ジャワ州で試験的に作られ配布された母子手帳は大変評判が良く、全国各地に広がっていきました。こうしたインドネシアでの動きを受けて日本は1998年に母子保健手帳活動を通じて母子保健サービスの改善を目指した「母と子の健康手帳プロジェクト」(~2003年)を開始しました。現在、健康手帳はインドネシアにある30余りの州のうち26州まで広がりを見せるとともに、今までにインドネシア保健省を通じて約222万冊もの健康手帳が配布されています。これらはそれぞれの地域の文化や習慣を考慮し州ごとに表紙を変えたり、なるべく難しい医療用語を使わずにイラストを多用して文字を読めないお母さんにもわかりやすいものにしたりするなどの工夫がなされており、好評を得ています。加えて、妊娠中のお母さんに母子手帳の使用を奨励する保健大臣令の発令(2004年)や開発援助を行う国際機関や他の援助国も手帳の印刷費を支援するなど、日本の経験、知見を活用した援助がインドネシアの内外から高い評価を得ています。

インドネシアにおいて、母子健康手帳を全国各地に普及させることのできた裏には、数多くの日本人の専門家や青年海外協力隊が現地のインドネシア人と協力してきた地道な努力がありました。今後も日本は、インドネシアが自分達の力で母子健康手帳の配布を進め、母子保健の分野で状況を改善することができるよう支援を行っていきます。

日本とインドネシアの母子手帳

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