next

第31回「東南アジア青年の船」事業(インドネシア)

  日本政府主催の第31回「東南アジア青年の船」(にっぽん丸)は、10月3日から6日の4日間、インドネシア青年28名を含む日本とASEAN10カ国330名あまりの青年を乗せ、ジャカルタ・タンジュン・プリオク港に寄港しました。

国立イスラム大学での懇親会の様子  初日の3日には、ジャカルタ到着後、参加者全員は、国立イスラム大学のキャンパスにおいて、「東南アジア青年の船」OBでもあるアジュマルディ・アズラ同学長主催のインドネシア学生との懇親会に出席しました。はじめに、黒木雅文在インドネシア日本国大使館公使が、「皆さんが見聞を深めるとともに、将来のリーダーとなることを期待しています。」と歓迎の言葉を述べました。その後、国立イスラム大学の生徒がゲーム大会を行って、参加者との親睦を深めました。

  初日の夜は、「東南アジア青年の船」インドネシア人OBやジャカルタ在留の日本人の方々を招き、船上レセプションが行われました。インドネシアまでの船内及び訪問地での様々な行事を通じ、団結を深めた青年たちは、色とりどりの民族衣装を、中には交換しあいながら身にまとい、来客との懇談に積極的に参加し、楽しそうに記念撮影をしていました。参加者らと懇談した飯村豊在インドネシア日本国大使は、「若い頃に是非参加したかった。」と、「にっぽん丸」という理想的な環境の中で、青年が国境を越えた相互理解と友好を深めることの重要性及びこうした機会を提供する「東南アジア青年の船」事業への高い評価を述べられました。また、インドネシアからの参加者は、つかの間ではありましたが、母国の土を踏み、ホームシックもあったのか、非常にうれしそうで、また誇らしげでした。「家族にも早く会いたいが、このプログラムが終わってしまうのは残念・・・。」とインドネシアからの参加者の一人は述べていました。

  10月4日及び5日には、マリク・ファジャール国家教育大臣やASEAN事務局等への表敬を行い、またインドネシア人家庭での体験した後、6日、参加青年たちは名残惜しそうに、次の目的地であるシンガポールに向け出発しました。


にっぽん丸、シンガポールに向け出航

【参考】 「東南アジア青年の船」事業では、参加青年は、約50日間にわたり船上およびそれぞれの訪問国で、共同生活や各国の文化紹介または討論等を通じ、交流を深めます。この事業に参加した日本及び東南アジアの青年たちは、相互の友好と理解を深め、視野を広め、国際協力の精神を身につけることにより、出身各国のみならず国際社会の各分野において指導者となり国際社会の発展に寄与することが期待されています。



プサントレンにおける日本文化紹介事業

  2004年8月24日(火)、佐藤公使他4名の館員が、恒例のプサントレンにおける日本文化の紹介事業を行いました。今回で4度目を数えるプサントレン訪問は、タンゲランにあるナフダトゥール・ウラマ(NU)系のポンドック・プサントレン・アシディキア・バトゥ・チェペール校です。このプサントレンは、1994年に開校され、中学部、高等部及び専門学部の生徒約1,000人が寄宿しています。今回は、本年2月に、クドヤ本校で佐藤公使が同様の文化紹介行事を行ったところ、好評であるとして、ヌル・イスカンダール塾長よりバトゥ・チェペール校での実施の依頼を受け実現したものです。

  午前11時から、同校内のモスクに、全校生徒が集合し、日本に関するクイズ、佐藤公使のスピーチ、質疑応答、浴衣の試着、伝統玩具の紹介、日本の歌の合唱、そして記念撮影を行いました。まずクイズでは、後ろの生徒たちが立ち上がって前へ乗り出すほどの盛り上がりを見せました。日本の新幹線、富士山、高層ビル等のパネルを見せながら、「日本で一番速い乗り物は?」「日本で一番高い山は?」「日本の首都は?」等の質問をしたところ、最初は恥ずかしげにしていた生徒たちも、大勢一生懸命手を挙げ答えてくれ、終わりには「もっともっと!」と声が挙がりました。「日本人の主食はなんでしょう?」という質問が、意外にも最も難しかったのか、「寿司」「麺類」という答えが次々とでて、インドネシア人と同じ主食である「お米」と答えられる生徒がなかなかいませんでした。

  続いて、佐藤公使から、日本とイスラムについてのスピーチを行いました。歴史的なエピソードを紹介しつつ、昨今の日本ではイスラムに対する興味が高まっていること、日本には約2万人のインドネシア人が居住しており、そのうちイスラム教徒は日本で最大のイスラムコミュニティで、日本人のイスラム教徒のイスラム学習を手助けしていること等について話しました。また、コーランのアル・フジュラット章第13節を引用し、文化的歴史的背景が違っていても、「人類みな兄弟」であり、互いの違いを尊重しあうことが重要であると強調しました。途中、日本とインドネシアのイスラムの友好を今後も発展させていきましょう、という佐藤公使の呼びかけに対し、生徒たちから拍手が巻き起こりました。

  そして、浴衣の試着や、伝統玩具の紹介部門では、日頃目にしない珍しいものを目の当たりにして、生徒たちが再び興奮する場面がありました。特に、『ドラえもん』でよく知られるタケコプターの原型である竹とんぼを、天井高くとばすのが楽しかった様子です。

  最後の写真撮影の前には、生徒全員で日本の歌を歌いました。「カエルの歌」を歌いましたが、歌詞も簡単で、日本の歌を歌うことができて一同満足したようです。

  なお、今回のプサントレン訪問事業は、帰国を前にした佐藤公使にとっては、最後のプサントレン訪問になりました。ヌル・イスカンダール氏は、佐藤公使のプサントレン訪問によって、インドネシアのイスラム界と日本との友好関係が築かれたことを評価し、今後は、相互の市民間での交流が発展することを祈念する旨伝えました。佐藤公使は、これまでのプサントレン訪問は非常によい思い出になったこと、帰国後も日本から双方の友好関係が継続するよう応援すると述べました。

previous