令和6年度前期在外公館長表彰ーオイスカ・インドネシアへの表彰状授与

令和6年8月30日
           [Bahasa Indonesia]
 
    
 
 8月29日、正木靖駐インドネシア日本国大使は、在インドネシア日本国大使館において、オイスカ・インドネシアへ令和6年度前期在外公館長表彰に係る表彰状を授与しました。
 
 オイスカ・インドネシアは、国内2か所(スカブミ及びカランガニアル)における研修センター等での40年以上にわたる農業研修により、7,500名以上の修了生を輩出し、地域の総合的な開発、環境保全に寄与してきました。
 
 
 また、スカブミの集落において実施された日本NGO連携無償資金協力の支援による2件の農村開発事業において、現地連携団体として実施に協力しました。具体的には、浄化槽付き共同水場12基の建設により600世帯以上に衛生的な水を供給可能にし、訪日研修を含む商品作物等の農業指導を通じて集落の平均世帯収入を約2.8倍に向上させたほか、貧困層の多い5村300世帯の主婦を対象に日本の専門家による加工品の開発・商品化指導を含む講習会の実施、既存の販売所の増築整備・販路拡大支援等により平均世帯収入を15%以上向上させ、周辺地域のロールモデルを作りました。
 
 さらに、ジャワ島を中心に、日本企業とも連携しながら30年余りで約3,370ha、およそ680万本のマングローブの植林活動を行い、海岸浸食から人々の生活を守ることに寄与してきました。
 
 今般、こうした長年にわたる草の根レベルの活動の支援を通して、日本・インドネシア両国の橋渡しとして相互理解促進に貢献されたことを高く評価し、表彰を行いました。
 
(参考)
日本NGO連携無償資金協力
 オイスカ・インドネシアは、日本国政府による日本NGO連携無償資金協力の支援によって、公益財団法人オイスカがスカブミで実施した農村開発事業2件に関し、現地連携団体として実施に協力しました。当該事業の概要は、以下のとおりです。

 西ジャワ州スカブミ県チロソック郡シルナレスミ村の山岳部で伝統的な生活様式を守って生活する共同体のひとつであるチプタグラルと呼ばれる集落では、共用水場の不足、既存の用水路の老朽化、商品作物の生産技術普及が進んでいない、ゴミ処理が適切になされていないなどの問題がありました。

 そこで、日本国政府の支援により、浄化槽付きの共同水場12基の建設、商品作物等の農業指導等を実施しました。その結果、600世帯以上に衛生的な水が供給されるようになったほか、約300名が参加する生産共同組合が組織化され、730世帯2,300名が生活する集落の住民が野菜栽培を行い、作物を地域から遠方の市場まで販売できる体制が整備され、同農民グループメンバーの一世帯あたりの平均年間収入が約2.8倍に向上する等、共同体の生活基盤の整備及び生計向上につながりました。2020年3月から約3カ年にわたり実施(供与総額約1億7400万円)。

 また、スカブミ県チクンバル郡では住民の生活水準が低く、家庭では女性は家事・育児に従事し、家庭や村の意思決定への関わりは稀であり、主婦には周辺地域での就労の機会は非常に限られているほか、農産物は高濃度の農薬に汚染され、成長期の子どもに適切な食の提供ができていないなどの問題がありました。

 そこで、スカブミ県の農村貧困地域に住む特に貧しい5村300世帯の主婦層を対象に、日本国政府の支援により、生活改善の知識・方法を学ぶ講習会の開催、家庭菜園での栽培技術を習得することで自家消費だけでなく販売による生計向上への寄与、リサイクル活動による生活環境改善など、多様な活動を実施しました。

 その結果、協同組合というかたちで住民の組織化を行い、受益者である主婦たちが事業後も継続して自主的に活動に取り組み、同時に家庭菜園も続けられ、自家消費や加工、販売用として扱われています。さらに、健康に対する意識も向上し、特に育ちざかりの子ども達にとって大切な朝食の摂取も、90%以上がそれを維持するなどの成果も上がりました。本事業の取り組みは周辺地域の行政や住民からも注目され、その功績を称える賞が授与されるなどの活躍の様子が見られました。2015年3月から約3カ年にわたり実施(供与総額約1億900万円)。