平成30年12月8日
プレスリリース:プロジェクト2045ハイレベルセミナー
12月8日、福井照衆議院議員を日本から迎えて、プロジェクト2045ハイレベルセミナーがジャカルタのダルマワンサホテルで開催されました。
日本側からは、秋元司環境副大臣、伊藤忠彦衆議院議員を含む3名の国会議員、石井正文大使他が、インドネシア側からは、ギナンジャール・カルタサスミタ元地方代表議会議長他が出席し、同日夜のレセプションにユスフ・カッラ副大統領が出席して祝辞を述べました。また、プロジェクト2045の報告書は、共同議長である白石隆熊本県立大学理事長とモハマド・ルトフィインドネシア商工会議所(KADIN)インドネシア日本経済委員会委員長(元駐日インドネシア大使)から、ユスフ・カッラ副大統領に提出されました。300名以上の出席者を得て、両国の有識者、政治家、ビジネスマン、学者等により、日・インドネシア関係の将来に関する熱心な議論が交わされました。
1.プロジェクト2045(副題:Indonesia-Japan 2045: A Joint Project of Two Maritime Democracies)(注1)は、日本とインドネシアの民間有識者が、インドネシア独立100周年にあたる2045年に向けて、両国が今後どのような協力を進めていくか自由な立場での議論を行い、未来に向けた指針となる政策提言を行うプロジェクトです。8日、両国の有識者によるプロジェクト2045報告書が発表されると共に、ハイレベルセミナーにおいて、この報告書の提言を踏まえて両国の政治家、ビジネスマン、学者、有識者等の間で活発な議論が行われました。
2.ハイレベルセミナーでの議論を通じ、概ね以下の認識が共有されました。
(1)日本とインドネシアが共に目指す未来とは、両国が課題と目標を共有する海洋民主主義国家として、互いに協力し、人々が豊かで自由で安全な人生が送れるよう、平和で安定し多様性と寛容性に満ちた社会の実現である。
(2)そのためには、2045年に向けて、日本とインドネシアは共に?@民主主義を維持し、海洋大国となること(政治面)、?A世界のトップ5経済国入り(経済面)、?B2030年持続可能な開発目標(SDGs)を超えた高い生活水準の達成(社会面)、という共通の3つのターゲットを達成する必要がある。こうしたターゲット達成のため、10分野の課題(注2)が特定された。
(3)こうした課題の実現に向け、両国は、例えば、政治面ではインド太平洋地域の航行・飛行の自由・安全のための多数国間閣僚会合の共催、インドネシア国際イスラム大学構想支援、中東・アフリカ・大洋州等における日尼三角協力、経済面では自由貿易の促進、インフラ開発及びインドネシア製品の輸出拡大のための共同研究、社会面では、離島地域スマート・シティ−化のためのマスタープラン策定・実証実験、早期警戒システムの導入による、自然災害に対する強靭性の強化といった合同プロジェクトを積極的に進めて行く必要がある。
(4)特に、人材育成については、テクノロジーが想像もつかない発展を見せる中、どの目標実現においても必要とされる分野横断的な挑戦であり、日インドネシア両国は職業訓練を含めた、様々な人材育成について協力すべき。
(5)こうした両国の有識者による提言、特にそのフラッグシップとなるような共同プロジェクトの実施をフォローアップするため、プロジェクト2045合同フォローアップ委員会を設置すべき。
注1:プロジェクト2045は、日本・インドネシア国交樹立60周年にあたる本年に、日本政府の拠出により、国連開発計画(UNDP)の事業として、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)を事務局として実施中。両国の民間有識者による、日インドネシア両国の今後の協力についての自由な政策提言を目指すプロジェクトであるが、日本国政府及びインドネシア共和国政府はオブザーバーとして本プロジェクトに参画している。白石隆熊本県立大学理事長とモハマド・ルトフィインドネシア商工会議所(KADIN)インドネシア日本経済委員会委員長(元駐日インドネシア大使)が共同議長を、ギナンジャール・カルタサスミタ元地方代表議会議長が特別顧問を務めている。
注2:プロジェクト2045報告書の10の挑戦
挑戦?@ 民主主義と多様な社会の維持
挑戦?A 海洋安全保障とルールに基づいた国際秩序の強化
挑戦?B インドネシア及び日本における地域及びグローバルなサプライチェーンの強化
挑戦?C インフラ開発
挑戦?D 投資を通じた経済の強化
挑戦?E 人材開発
挑戦?F 地域経済活性化
挑戦?G 衡平な社会の追求
挑戦?H 生活の質を向上させるためのデジタルテクノロジー
挑戦?I 国土強靭化の実現等
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