正木大使の挨拶文;国立イスラム大学ジャカルタ医学部創設20周年に寄せて
令和7年10月6日
2004年の設立以来、国立イスラム大学ジャカルタ校の医学部が、教育と健康の発展に20年間尽力されてきたことに心よりお祝い申し上げます。今日まで医学部を発展させてきた国立イスラム大学ジャカルタ校の関係者の皆様の努力に深い敬意を表します。国立イスラム大学ジャカルタの医学部がインドネシアの教育や医療分野で成し遂げてきた成果や貢献は非常に大きく、日本がこのような取組に関わることができたことを嬉しく思います。
2005年、医学教育研究プログラムの設立初期に、日本政府はJICA(国際協力機構)を通じて、円借款プログラム「国立イスラム大学保健・医学部整備事業」 による保健・医学部の施設建設支援を開始しました。この支援により、イスラム系高等教育機関で最初の医学部が国立イスラム大学ジャカルタに誕生しました。日本の支援によって建設された施設には、ラボラトリーや図書館を含む医学部棟(2010年に設立)、学生寮棟(現在は女子寮として使用)、南タンゲランのブアラン・セルポンとレニ・ジャヤ・パムランにある2つのクリニック(研究教育ユニット)などがあります。これに加え、日本は、医療機器、実験トレーニング用機器、コンピューターなどの調達を通じた支援も行いました。
インフラや機器の援助だけでなく、日本は人材育成の協力も行ってきました。日本はインドネシア政府と協力して、保健・医学部(FKIK)の教授・講師向けの、東京大学や九州大学などといった日本の大学の博士課程に留学するための特別奨学金プログラムを作りました。現在までに、保健・医学部(FKIK)の30名以上の教授・講師が日本の博士課程に留学されました。さらに、日本は保健・医学部(FKIK)の教授・講師に対して、日本での短期留学のためのフェローシップも提供しています。このプログラムを通じて、これまで約80名が日本に短期留学されています。これらのプログラムを通じて、日本がインドネシアの医療人材の育成に貢献してきたことを誇りに感じています。
日本が国立イスラム大学ジャカルタ校へのこの支援を決定した主な目的は、インドネシアの地方部における深刻な医療従事者の不足の問題を解決することでした。だからこそ、日本はインドネシア各地からの学生を積極的に受け入れている国立イスラム大学ジャカルタ校と協力することを決めたのです。国立イスラム大学ジャカルタ校の医学部が、地域間の医療人材の質と量の不均衡解消に向け、今後とも大きな貢献を続けることを期待しています。
最後に、このプログラムにご協力いただいた関係者の皆様に感謝申し上げるとともに、国立イスラム大学ジャカルタ校医学部が、引き続き発展していくことを願っています。日本の大学と国立イスラム大学ジャカルタ校医学部との間で構築されたネットワークは、将来、インドネシアの医療発展のための良い基盤となるとともに、日本・インドネシア関係の強化に貢献すると確信しています。
(本文は、まえがきとして、国立イスラムジャカルタ校医学部チーム編(2025)『国家への奉仕:国立イスラム大学ジャカルタ校20年の歩み』国立イスラム大学ジャカルタ校プレス〔Tim FKUIN Jakarta ed. Mengabdi untuk Negeri:20 Tahun Fakultas Kedokteran UIN Syarif Hidayatullah Jakarta. Jakarta: UIN Jakrata Press,2025.〕、に所収された。)
2005年、医学教育研究プログラムの設立初期に、日本政府はJICA(国際協力機構)を通じて、円借款プログラム「国立イスラム大学保健・医学部整備事業」 による保健・医学部の施設建設支援を開始しました。この支援により、イスラム系高等教育機関で最初の医学部が国立イスラム大学ジャカルタに誕生しました。日本の支援によって建設された施設には、ラボラトリーや図書館を含む医学部棟(2010年に設立)、学生寮棟(現在は女子寮として使用)、南タンゲランのブアラン・セルポンとレニ・ジャヤ・パムランにある2つのクリニック(研究教育ユニット)などがあります。これに加え、日本は、医療機器、実験トレーニング用機器、コンピューターなどの調達を通じた支援も行いました。
インフラや機器の援助だけでなく、日本は人材育成の協力も行ってきました。日本はインドネシア政府と協力して、保健・医学部(FKIK)の教授・講師向けの、東京大学や九州大学などといった日本の大学の博士課程に留学するための特別奨学金プログラムを作りました。現在までに、保健・医学部(FKIK)の30名以上の教授・講師が日本の博士課程に留学されました。さらに、日本は保健・医学部(FKIK)の教授・講師に対して、日本での短期留学のためのフェローシップも提供しています。このプログラムを通じて、これまで約80名が日本に短期留学されています。これらのプログラムを通じて、日本がインドネシアの医療人材の育成に貢献してきたことを誇りに感じています。
日本が国立イスラム大学ジャカルタ校へのこの支援を決定した主な目的は、インドネシアの地方部における深刻な医療従事者の不足の問題を解決することでした。だからこそ、日本はインドネシア各地からの学生を積極的に受け入れている国立イスラム大学ジャカルタ校と協力することを決めたのです。国立イスラム大学ジャカルタ校の医学部が、地域間の医療人材の質と量の不均衡解消に向け、今後とも大きな貢献を続けることを期待しています。
最後に、このプログラムにご協力いただいた関係者の皆様に感謝申し上げるとともに、国立イスラム大学ジャカルタ校医学部が、引き続き発展していくことを願っています。日本の大学と国立イスラム大学ジャカルタ校医学部との間で構築されたネットワークは、将来、インドネシアの医療発展のための良い基盤となるとともに、日本・インドネシア関係の強化に貢献すると確信しています。
(本文は、まえがきとして、国立イスラムジャカルタ校医学部チーム編(2025)『国家への奉仕:国立イスラム大学ジャカルタ校20年の歩み』国立イスラム大学ジャカルタ校プレス〔Tim FKUIN Jakarta ed. Mengabdi untuk Negeri:20 Tahun Fakultas Kedokteran UIN Syarif Hidayatullah Jakarta. Jakarta: UIN Jakrata Press,2025.〕、に所収された。)
