インドネシアで安全に暮らすために
平成21年3月
在インドネシア日本国大使館
在ジャカルタ日本国総領事館
ジャカルタ・ジャパン・クラブ
は じ め に
インドネシアでは2002年10月にバリ島で大規模な爆弾テロ事件が発生しました。03年と04年にもそれぞれジャカルタで爆弾テロ事件が発生したほか、05年10月にはバリ島で再び連続爆弾事件が発生し、日本人旅行者一人の死亡を含む100人を越える死傷者がでました。06年〜08年は大規模な爆弾テロ事件の発生はなかったものの、引き続きテロ事件への警戒が必要です。さらに、最近では鳥インフルエンザの人への感染による死者が増加しており、今後、新型インフルエンザが発生し、感染が拡大するおそれもあります。
このような政治・社会情勢の中で安全に生活するためには、日々刻々と変わる国内外の諸情勢や対日感情の変化等を的確に把握し、各人が「自分の身は自分で守る」との心構えで、常に警戒心を持って行動することが大切です。この小冊子には、インドネシアで生活する上で家族全員が念頭に置くべき防犯上の一般的な心得や緊急時の心得と対処要領を記しておりますので、御参考にしていただきたいと思います。
なお、不幸にして何らかの事件・事故に巻き込まれた場合や困ったことが起きた場合は、いつでも日本大使館・総領事館に御連絡ください。
?T.平常時における安全対策
インドネシアでは、順調に経済成長を続けていますが、依然として貧困層や失業者は多く、旅行者を狙った空港、レストラン、ホテル等における置引き等の窃盗事件が頻発しており、最近ではその犯罪手口も大胆かつ凶悪化しています。特に、ジャカルタではタクシー強盗やパンク強盗のほか、オートバイによる引ったくり、押込み強盗、居直り強盗等の犯罪も発生しています。また、近年の政治、経済及び社会情勢等を背景とする爆弾テロ脅迫事件(いたずらであることがほとんど)や大規模デモ等が市内でも発生しています。
ds常に自分の身の回りに注意を払うことは海外生活の基本といえますが、インドネシアでは特に次のような点を心に留め置くことが必要です。
1.安全対策の基本的な心構え
(1) | 自分と家族の安全は、自らが守るとの心構えを持つこと インドネシア国内外の政治・経済・治安状況及び対日感情等について様々な媒体から常に情報を得るように努力する。 |
(2) | 常に危機意識、緊張感を持って行動すること 日本人は経済的に裕福であると見られがちであり、窃盗や強盗等の一般犯罪のほか、テロ、誘拐等の標的にされる可能性があることを十分に認識する。 |
(3) | 自分が外国人であることを自覚すること 価値観の違いを認識し、インドネシア固有の文化、伝統、風俗、宗教等を十分に尊重する。また、自分は外国に住まわせてもらっているとの謙虚な姿勢が大切であり、平素から隣人、会社の従業員、メイドや運転手などの家事補助者等インドネシア人との間に良好な関係を保つよう努力する。 |
(4) | 予防が最良の危機管理 事件、事故、災害等に巻き込まれないように、予防することこそが最高かつ最良の危機管理です。予防のために必要な努力と経費を惜しんではいけません。 |
(5) | 日本と安全・安心の基準が異なることに留意すること 乗り物、機械器具、子どもの遊具、建物の構造、道路の状況など、日本とは安全・安心の基準が異なることに留意して生活する。特に、子ども、女性の安全については、周囲も十分な注意を払う。 |
2.一般犯罪被害に遭わないための対策
○ 自宅における留意点
ポイント
1.高層アパートか、一戸建てか
2.メイドや運転者等、家事補助者の信頼度と監督
[住宅]
(1) | 集合住宅と独立家屋では一般的に警備の容易さ及び安全性の観点から前者の方が優れており、集合住宅における居住の可能性を検討することをお勧めする。 独立家屋の場合は、住宅環境を整備し、夜間は庭園灯、屋外灯を点灯して死角をなくす。また、ドアや窓の作りを強固なものとし、必要であれば窓に鉄格子、また家屋に防犯警報装置を設置する。施錠設備は頑丈なものとし、複数の鍵を設置するなどの工夫をする。 |
(2) | ドアや窓の施錠は、例え在宅中であってもこまめに行う。鍵は自らが確実に保管し、仮に家事補助者等に合い鍵を預ける場合であっても、主寝室等の合い鍵は渡さないなど配慮する(例えば、外出るす際は、家事補助者等による盗難を防ぐ観点からも、主寝室に備え付けた金庫で貴重品を保管し、主寝室の施錠を励行する。)。 |
(3) | 家の外から目立つ場所には高価な物を置かない。また、知らない訪問者は絶対に家の中に入れない。例え警察官や警備員であっても、身分証明書を確認するくらいの用心深さは持ちたい。 |
(4) | 外出先から帰宅した際、ドアの錠が開いていたり、窓が割られているなど不審な点が認められたら、安易に家の中に入ることなく、警察や近隣の人に助けを求める。 |
(5) | 在宅時に盗賊の侵入に気付いても、身の安全を第一として対処する。盗賊のいる場所に姿を見せることなく、鍵のかかった部屋で盗賊の退散を待つか、電話で警察等に通報する。それでも押し入って来た際には、むやみに抵抗しない。 |
[メイド、運転手等の家事補助者]
(1) | 家事補助者の採用に当たっては、身元のはっきりした者を採用する。また、その際は身分証明書等を確認し、そのコピーを保管する。特に、運転手については運転免許証の有効期限についても注意する。 |
(2) | 家事補助者には、主人の許可なしに外部の人間を、家事補助者の家族であっても家の中に入れないよう十分に注意を与える。また、見知らぬ者からの家人の在宅を確認するような電話には応答しないよう平素から指導する。 |
(3) | 不心得な家事補助者や解雇した家事補助者の手引きによる犯罪も多いことから、十分に注意を払う。特に、長期間にわたり家を留守にする場合は、知人や会社の同僚等に定期的に見回りをしてもらうよう依頼する。 |
○ 行動における留意点
ポイント
1.「自分の身は自分で守る」との心構え
2.犯罪の傾向や手口、法律や習慣を知っておく
3.犯罪に遭遇したら抵抗しない
(1) | 繁華街、市場、デパート、空港等、多数の人が集まる場所や横断陸橋では、周囲に不審人物がいないかどうか気を配る。特に、見知らぬ人に話しかけられ、その応対をしている隙に鞄等を盗まれるケースも多いので注意する。また、ズボンの後ろポケットに財布等の貴重品を入れて出歩かない。鞄は抱きかかえるように体の前で持つのが安全である。 |
(2) | 外出する際は派手な服装は避け、大金を持ち歩かない。また、支払いの際に多額の現金を人前で晒さないよう、少額の現金のみを入れた財布を用意するなど、財布の取扱には注意を払う。 |
(3) | 車に乗ったら直ちにドアロックを施し、窓ガラスは閉める。貴重品を残したまま車を離れないようにする。大きな荷物で持ち歩くことができない場合は、予めトランクの中に入れるなど、外部から見えない場所に保管する。 |
(4) | 信号待ち等のため一時停車した際、サイドミラーを破壊し持ち去る手口の盗難や、手斧を示して威嚇し金品を要求する強盗事件が発生しているので、不審者が近づいてきたら進路を変更してでも車を発進させて避難する。抵抗したり争ったりすることは厳に慎む。 |
(5) | 車で走行中、タイヤがパンクしたり、投石を受けたりした場合でも、その場に停車することなく、ホテルやレストランの駐車場等、比較的人出の多い安全な場所まで移動して修理や車体の確認を行う。その際も、ドアロックは確実に施す(バイク等で後ろから追いかけて、修理中に車内の鞄等を盗んだり、凶器を示して金品を要求する手口の犯罪が多発。)。 |
(6) | タクシーを利用する際には、レストランやホテルのカウンター等から電話で呼び出して貰ったものや、ホテルで客待ちしているものを利用する。深夜に流しのタクシーを拾うことは非常に危険なので厳に慎む。タクシーに乗車した際は、車内に提示されている運転手証の顔写真で運転手が本人か確認し、別人であればすぐに降車する。また、乗車後、運転手の名前や車両番号、タクシーの会社名等をメモするか、携帯電話で知人に伝達しておくと、犯罪の被害に遭った場合や車内に忘れ物をした際に運転手を特定しやすく、便利である。 |
○ 会社・事務所における留意点
ポイント
1.警備体制、防犯対策をおろそかにしない
2.従業員との関係に注意する
(1) | 席を離れる際は、例え短時間であっても机やロッカー等の施錠設備のある場所に貴重品を保管し、確実に施錠する。卓上のパソコンは、必要に応じワイヤーロープで繋ぐなどの工夫をする。 |
(2) | 事務所の出入り口のみならず、各執務室にも施錠設備を設ける。帰宅の際又は昼食時等に外出して執務室が無人となる場合は、こまめに施錠する。 |
(3) | 現地従業員との接し方に注意する。思わぬところで恨まれて執拗な嫌がらせを受けることがある。人前で厳しく叱るなど相手の尊厳を傷つけるような行動や感情的な言動を慎む。また、労働争議から派生する放火や監禁事件も懸念されるので注意する。 |
3.暴動に巻き込まれないための対策
ポイント
1.集会やデモには近づかない
2.これらに遭遇したら、速やかにその場から退避する
(1) | 集会やデモに端を発した小規模な暴動が発生する可能性は排除できないので、車で移動する際は運転手にラジオニュースを聞かせるなどして情報を収集し、危険な地域や道路は避け、迂回するよう心掛ける。また、暴動ではないが、高校生同士等の喧嘩から突如として路上で投石合戦が始まることもあるので注意する。 |
(2) | 仮に、暴動、喧嘩の現場に遭遇した場合には、速やかにその場から退避する。また、爆発音が聞こえたり、煙が立ち上ったりした場合は、二次的な爆発や群衆のパニックに巻き込まれる恐れもあるので、現場見物等の行動は厳に慎む。 |
4.爆弾テロに対する対策
ポイント
欧米関連施設等爆弾テロの対象となり得る施設等には、出来るだけ近づかない
(1) | 当地では2002年10月にバリ島のクタ地区、03年8月にジャカルタのマリオット・ホテル前、04年9月にジャカルタの豪州大使館前、05年10月にバリ島のクタ地区及びジンバラン地区において爆弾テロ事件が発生した。 |
(2) | インドネシア警察当局は、これら事件発生を受けて再発防止のための高度の警戒態勢を敷くと共に、真相究明、容疑者の逮捕等に努めているが、テロ組織の幹部が逃走中とされていることなどから、再びテロ事件が発生する可能性は排除できない。 |
(3) | ついては、宿泊先ホテルが十分な安全対策を講じているか確認する、夜間の外出はできる限り控える等、昼夜を問わず一層慎重を期し、不測の事態に巻き込まれないよう最新の関連情報の収集に努めると共に、多数の外国人が集まる場所及び主要欧米関連施設等、爆弾テロの標的となるような場所には極力近づかず、また、欧米以外の外国関連施設にも相応の注意を払い、外出の際には車又は徒歩での移動を問わず、不審な動きをしている人物や車がいないか等、周囲の状況に最大限の注意を払って、自らの安全確保を心掛ける。 |
(4) | 不審な物を発見した場合には、「触れない,嗅がない,動かさない」の三原則を守り、直ちに警備員等関係者に通報する。 |
5.誘拐被害に遭わないための対策
ポイント
1.目立たない、用心を怠らない、行動を予知されない
2.当国では、商売上のトラブルによる誘拐事案が発生している
(1) | 日本企業の海外進出が進むにつれ、世界各地で政治・経済的目的等のために邦人の誘拐事件が現に発生しており、インドネシアを含め、海外における邦人誘拐の可能性が増している。 |
(2) | 誘拐対策の基本は、「個人の意識と努力」であり、即ち、「目立たない」、「用心を怠らない」、「行動を予知されない」の三原則を守ることが重要である。 |
(3) | 過去の事例によれば、誘拐事件の発生前には、不審電話が続いたり、尾行されたり、自宅やオフィス付近に不審者・車がいるなど、何らかの前兆があることが分かっている。常に周囲に注意を払い、その前兆を掴むよう努める。 |
6.交通事故対策
ポイント
1.信頼できる運転手を雇用し、運転を任せる
2.自動車保険への加入
(1) | インドネシア、特にジャカルタにおける道路交通事情は非常に劣悪なので、車の運転は運転手に任せ、極力自分ではしないよう心掛ける。運転手には、安全運転に心掛けるよう平素から十分に指導する。また、日中は交通渋滞が生じやすく、特に出勤時、昼食時、退社時は激しくなること、更に一方通行が多く目的地まで思わぬ時間を要すること等から、運転手に無理な運転をさせないためにも、あらかじめ時間的なゆとりを持って行動する。 |
(2) | 自分の車が交通事故を起こした場合は、追突等の二次的事故が起こらないよう安全を確保し、その上で現場の保全を図る。事故の当事者はあくまで運転手であるので、示談交渉等については運転手に交渉させ、自分は安易に車外に出ない。身の危険を感じた場合は、早急にその場から退避する。 |
(3) | 事故現場には瞬時に野次馬が集まることがあるので、可能な限りホテルの駐車場等の安全な場所に移動して示談等の交渉を行う。その際、特に事故現場では相手を刺激するような言動はしない。同乗者、付近のビルの警備員等に警察、病院等への通報を依頼する。 |
(4) | 軽微な物損交通事故であれば、基本的にはその場での示談となるが(警察への通報義務はない)、解決がつかない場合や後刻の示談に相手が応じそうもないような場合等には、両当事者(当方は運転手のみ)揃っての警察への出頭を促すなど、臨機の措置をとることも必要である。 |
(5) | 人身交通事故の加害者となった場合は、周囲の状況(野次馬の参集状況等)や相手の負傷の程度等を勘案した上で、必要であれば自分の車、タクシー等で負傷者を病院に搬送するなど、臨機応変の措置をとる。 |
(6) | 事故現場では後日のトラブルを避けるため、相手の運転免許証や身分証明書記載事項、相手車両の車検証やプレート番号等を運転手に控えさせておくこと(保険への未加入者も多い)。自分自身の身分事項について答える必要がある場合は、(夫の)氏名、会社名及び会社の電話番号にとどめ、自宅の住所や電話番号はなるべく教えない。 |
(7) | 警察において事情聴取を受ける場合は、通訳可能な同僚等の同伴を求めるとともに、必要に応じて日本総領事館に通報する。捜査報告書等への署名を求められた際は、内容を十分に確認した上で応じる。 |
7.災害に対する備え
ポイント
1.地震、洪水に強い住居を選定する
2.新型インフルエンザのことも考慮し、1〜2ヶ月間程度の食料・飲料水を備蓄しておく
(1) | 火災が発生したら慌てずに初期消火に努め、必要に応じて消防署に連絡する。なお、消火器を準備し、操作を熟知しておく。 |
(2) | 高層住宅に居住する場合は、平素から火災や地震発生時の避難経路を確認しておく。 |
(3) | 雨期は通常9月から2月の間であるが、その後半の1月から2月には数年間隔で集中豪雨が発生するといわれており、特に2002年及び07年には大洪水がジャカルタ首都圏をも襲った。住居(含アパート)選定の際には、洪水対策をも考慮して選定する。 |
8.旅行者に対する注意事項
ポイント
1.意識を海外モードにする
2.親切な人を安易に信用しない
(1) | 旅行者が遭う犯罪被害の大半は、スリ、置引き、引ったくり、車上狙い等の窃盗によるもので、特に空港やホテルのロビー、レストラン、デパート等で多発している。手荷物からは絶対に目を離さない、人混みの中では鞄を抱えるようにして持つ、駐車車両の中に貴重品を放置しないなど、荷物の管理を厳重にする。また、空港等のロビーで見知らぬ人から話しかけられた場合は、注意が逸れた隙に手荷物を持ち去られるケースもあるので、特に注意する。 |
(2) | 紛失したり盗難被害に遭った旅券は、偽変造ブローカーを通じて売買された後、先進各国への密入国等に不正使用され、後日、真正な元の旅券名義人に思わぬ被害等が及ぶこともある。また、旅券作成のために旅行日程を大幅に変更しなければならなくなるような事例も多々ある。旅券は肌身離さず所持するとともに、常に所在を意識するなど、管理には細心の注意を払う(旅券の写しを別途保持しておくと便利である。)。 |
(3) | クレジット・カードの不正使用被害が近年とみに増加しているので要注意である。これは支払い時にカードの磁気情報を記録され、これを不正に使用されて身に覚えのないものまで請求されるというものである。クレジット・カードで買い物をする場合は、信頼のおける店で使用することは勿論、店員のカード操作をよく確認する。また、書損じ等が生じた場合は必ず間違った控え書の返還を求める。万が一、身に覚えのない請求があった場合は、クレジットカード会社に直ちに通報する。 |
なお、クレジット・カードによる決済方法には、口座からの自動引き落としの他に、送付される請求書により使用履歴を確認した上での支払いが可能な場合もある。(詳しくは提携先金融機関にお尋ね下さい。) |
9.鳥インフルエンザ、新型インフルエンザについて
ポイント
1.鳥に近づかない、手洗い及びうがいの励行、予防接種
2.出国準備、又は、残留する場合の生活物資確保
3.工場等の操業、従業員の雇用をどうするか
(1)予防対策
鳥インフルエンザに対する予防対策については、従来から「総領事館からのお知らせ」により注意事項をお知らせしてきているほか、在インドネシア大使館ホームページに家事補助者および運転手用の予防のための注意事項のインドネシア語版を掲載している。
在留邦人の皆様におかれては、改めて以下の予防対策につき確認の上、職場の従業員等、個人が雇用する家事補助者及び運転手等、日常生活で接点のあるインドネシア人の健康管理についても一層留意する。
(イ) | 鳥類に近づかない。特に養鶏場、鶏を扱う伝統市場、観賞用鳥屋、家禽類飼育家庭及び動物園などへの不用意・無警戒な立ち寄りや接触を避けること。さらには、鳥類の死体、内臓、排泄物に接触しない。 |
(ロ) | 鶏肉や卵を調理する際に加熱する(WHOによると、ウイルスは適切な加熱により死滅するとされており、一般的な方法として、食品の中心温度を70°Cに達するように加熱することを推奨している。)。 |
(ハ) | 念のため、人混みへの立ち入りは最小限にし、外出後には手洗い、うがいなどの通常の感染症予防対策を励行する。 |
(ニ) | 通常のインフルエンザ・ワクチンを定期的に接種する。 |
(ホ) | マスク等を準備し、必要に応じて着用する。 |
(ヘ) | 高熱、全身倦怠感、呼吸器症状等が出たら、ためらわず最寄りの信頼できる病院の医師を受診する。 |
(ト) | 職場の従業員、家事補助者、運転手等に鳥インフルエンザと疑われる症状が出た場合には、早急な医師の診療、出勤の停止等の指導により、周囲への感染予防措置をとる。 |
(2)今後の心構え
今後、人から人への感染が拡大するような状況になる可能性があり、その場合には短期間のうちに世界的に感染が広がるおそれがあると指摘する専門家もいる。人から人への感染が拡大すれば、交通手段が大幅に制限されるなど、社会的に大きな影響が及ぶおそれもある。皆様方におかれては、そのような状況に備え、以下の諸点を参考として、万一の際の心構えを持ち、今後の対応を検討しておいていただくようお願いする。
(イ)当国における鳥インフルエンザ患者の治療体制
ジャカルタでは、鳥インフルエンザの感染ないし感染の疑いが確認された場合は、基本的には政府による指定病院(現時点でのジャカルタ市内の指定病院は、スリアンティ・サロソ病院と、プルサハバタン病院、ガトット・スブロト病院の3か所)に収容され、治療を受けることとなっている。
(ロ)鳥インフルエンザに対する治療の現状
(a) | 人から人へ感染する新型インフルエンザが発生した場合、効果的な予防のためのワクチンは現存していないと考えられており、また、新型インフルエンザに対応するワクチンの開発には相当な時間がかかるといわれている。 |
(b) | 既存の一般的なインフルエンザの治療薬として処方される「タミフル」は、現存の治療薬としては最も効果が高いと考えられている。当国においては、「タミフル」は政府が一元管理することになっているため、一般市場での入手は困難な状況にある(ただし、現在、当国政府による全国の指定病院等には政府備蓄分から一定量について供給されている)。 |
(ハ)航空機等の交通機関
当国で人から人への感染が発生した場合、世界への蔓延を防ぐため、人の移動及び物資の流通が制限される可能性があり、場合によっては、航空機等の運航が停止する可能性がある。
(ニ)生活物資
物資の流通の制限により、生活物資の入手に支障をきたすおそれがある。
(ホ)出入国の制限
いずれの国も水際での防疫体制を強化することから、出入国が厳しく制限される可能性がある(日本においても、防疫上の措置がとられるが、邦人に対し帰国自体を制限することはない。)。
(ヘ)出入国の準備
(a) | いつでも航空券が購入できるよう、米ドル等現金を準備しておくことをお勧めする。 |
(b) | 当国の滞在査証及び再入国許可等が失効していないかの確認、必要に応じて更新等の手配を準備しておくことをお勧めする。 |
(ト)日本人学校
感染予防及び感染拡大防止のため、日本人学校が一時休校等の措置を取る可能性がある。
(チ)工場の操業、従業員の雇用等
邦人駐在員の駐在規模を縮小する(又は全員が一時帰国する)場合、工場等の操業を縮小するか、その場合、インドネシア人従業員の雇用・給料の支払い方法をどうするか等、企業経営上の諸問題について予め検討しておく。
なお、在インドネシア日本大使館ホームページ( http://www.id.emb-japan.go.jp/ )において、鳥インフルエンザに関する情報提供を行っているので、以下のホームページと併せ適宜活用ください。
●厚生労働省ホームページ:鳥インフルエンザ関連情報
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou02/index.html
●厚生労働省ホームページ:新型インフルエンザ関連情報
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/index.html
●検疫所ホームページ
http://www.forth.go.jp
●感染症情報センターホームページ:
「インフルエンザパンデミックQ&A」、WHO発表リポートの和訳文
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/index.html
●WHOホームページ:鳥インフルエンザ発生最新情報他(英語)
http://www.who.int/csr/disease/avian_influenza/en/index.html
●海外勤務健康管理センターホームページ:
「海外派遣企業での新型インフルエンザ対策ガイドライン」
http://www.johac.rofuku.go.jp/news/060130html
?U.緊急事態への備えと対処要領
1998年5月、ジャカルタを中心に各地で暴動が発生し、約9000人の在留邦人が極めて短期間に臨時便やチャーター便で国外に安全退避したことは、今なお我々の記憶に残っており、過去の貴重な体験を教訓とし、今後ともその危機管理に役立てていかなければならない。
こうした情勢の中、各種の緊急事態に常日頃から備えておくことはインドネシアで暮らす上での必要不可欠な要素といえる。ここではそうした準備や緊急事態への対処の上で参考となるよう、一応の基準と心構えを記した。
1.外務省の「渡航情報」について
外務省は、各国・地域の治安状況について、それぞれの情勢に応じた4段階の具体的な文章表記、「十分注意してください」、「渡航の是非を検討してください」、「渡航の延期をお勧めします」及び「退避を勧告します」で示している。
○「十分注意してください」
当該国(地域)への渡航、滞在に当たって特別な注意が必要であることを示し、危険を避けるように勧めるもの。
○「渡航の是非を検討してください」
当該国(地域)への渡航に当たり、渡航の是非を含めた検討を真剣に行い、渡航する場合には十分な安全措置を講じるよう勧めるもの。
○「渡航の延期をお勧めします」
当該国(地域)への渡航は、どのような目的であれ延期するよう勧めるもの。また、現地に滞在している邦人に対しては退避の可能性の検討や準備を促すもの。
○「退避を勧告します」
現地に滞在しているすべての邦人に対して当該国(地域)から安全な国(地域)への退避(日本への帰国を含む)を勧告するもの。
2.平素の心構え
(1)情報入手方法の確立
緊急事態の発生時は、いかに正確な情報を入手し得るかが重要な鍵となる。平素から各種情報の入手先を確認したり、ジャカルタ・ジャパン・クラブ(JJC)へ加入して素早く適切な情報を入手できるようにするなど、情報の入手方法を確立しておく。
緊急事態発生時の最後の安否確認の方法は、滞在する皆様から提出していただいている「在留届」が基礎となる。「在留届」は、外国で滞在する際のいわば住民登録であり、3か月以上滞在する予定のある方は、必ず総領事館に提出すること。また、転居、転職、出生等による家族の異動事項が生じた場合には「記載事項変更届」を、更に帰国の際には「帰国届」をそれぞれ提出する。
(2)旅券等の管理
旅券、出国・再入国許可証、警察登録証明書(SKLD)、滞在許可証(KITAS)等は紛失しないよう厳重に管理し、SKLD、KITAS及び旅券の写しは突然の検問等に備えて常時携帯しておく。また、旅券の有効期限が常に6か月以上あることを確認しておく。
(イ) | 滞在許可、出国・再入国許可取得手続等のため、入国管理局に旅券を預け入れしている間に緊急事態が発生し、急遽本邦へ引き揚げる必要が生じた場合、総領事館では旅券に代わる「帰国のための渡航書」を発給することが可能であるが、平常時から出入国管理に係る手続は早め早めに対応する。 |
(ロ) | 長期滞在者は出国に際し、「滞在許可証」を所轄の移民局へ提出し、「出国許可証(Exit Permit only)」を取得する必要がある。また、後日再入国するためには、「再入国許可証(Re-entry Permit)」の取得も必要(短期滞在者については「滞在許可証」の取得手続は不要であり、出国のための「出国許可証」の取得も必要ない)。なお、緊急事態発生時に「出国許可証」の取得が困難な場合は、総領事館に相談する。 |
(3)備蓄品、緊急持出し品等の準備
(イ)食料、飲料水
状況によっては、買い物のための外出が困難になり、あるいは、しばらくの間自宅で待機する方が安全なことも想定されるが、新型インフルエンザも考慮して、1〜2ヶ月間位の生活ができる程度の食料、飲料水の備蓄を心掛ける。
(ロ)金銭
事態の緊迫により、銀行の閉鎖もあり得るので、国外退避のための現金(外貨並びに出国税250万ルピア(NPWP所持者及び家族は免除)及び空港使用料10万ルピア)を準備しておくことを心掛ける。
(ハ)短波ラジオ等の持出し品
事態が悪化してくると、NHKの短波放送により治安状況が放送されるので、あらかじめ短波ラジオ(予備電池を含む)を準備し、日本語放送の周波数や放送時間帯を確認しておく。救急薬品や懐中電灯等、緊急時に持ち出すものについては平素から整備し、保管場所を確認しておく。
(ニ)給油
自動車は常に整備し、早め早めに燃料を給油しておく。
(4)その他留意すべき事項
(イ)家族間の連絡体制
家族のその日の行動は家族全員が相互に把握しておくと共に、家族にも携帯電話を持たせるなど、いつでも連絡がとれるような策を講じる。
(ロ)保険への加入
海外旅行傷害保険、火災保険、盗難保険、自動車保険等に加入しておく。
(ハ)航空券の購入及び座席確保
現在、主要航空会社ではEチケットによる発券が一般的であり、日付が変更可能な航空券やいわゆる「オープンチケット」の購入は座席の確保を意味しない。帰国便の席を確保するためには、予約を入れて座席を留保する必要がある。
3.緊急事態が発生し、又は発生するおそれがある場合の対応
(1) | 正確な情報を入手して状況を正しく把握すると共に、流言飛語に惑わされたり、群集心理に巻き込まれたりすることなく、冷静に行動する。また、邦人相互間で緊密な連絡をとり、情報の共有に努める。 緊急事態が発生し、又は発生するおそれがある場合は、大使館及び総領事館はジャカルタ・ジャパン・クラブ(JJC)と緊密な連携を保ちつつ、JJC・SMS、緊急連絡網、総領事館からのお知らせ及び大使館インターネット・ホームページ等により情報を随時提供し、必要な措置について連絡する。 |
(2) | 生命、身体、財産等に危害が及ぶか、又は及ぶおそれがある場合は、ホテル、あるいは各企業等が決めた集合場所へ避難し、所轄警察署に救援を求めるなどの措置をとる。ただし、情勢によっては自宅で待機する方が安全な場合もあり得るので、軽挙妄動は慎む。屋外で銃声が聞こえたら、窓の近くには寄らない。 退避する場合は、退避状況を逐次大使館(総領事館)に通報すること。 |
(3) | NHK国際放送(ラジオジャパン)からの情報入手についても留意する。 |
4.退避、出国等
(1) | 日本政府から退避勧告があった場合は、これに従ってなるべく早く退避、引揚げを行う。外務省は、原則として一般商業機が運航されている間に退避勧告を発出するので、一般商業機で退避するよう努める。 |
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(2) | 事態が逼迫して、大使館から退避又は引揚げのための集結の連絡があった場合は、示された集結場所のうち、最寄りの場所に集結する。 |
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(3) | 退避する際、貴重品は目立たないように身に付ける。服装は肌の露出が少なく動きやすいものを、履き物は動きやすく丈夫なものを履く。また、両手が使えるようにしておくため、貴重品、常備品等はナップザック等で携行し、荷物は最小限にとどめる。
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?V.参考情報
1.緊急連絡網
大使館(総領事館)は、ジャカルタ・ジャパン・クラブ(JJC)等の各邦人団体との協力のもとに、下記のとおり緊急連絡網を整備している。
(1)JJCの法人部会会員企業への緊急連絡
JJC事務局からEメール及び携帯電話のSMS(ショート・メッセージ・サービス)一斉発信によって、平日及び休日にかかわらず、会員企業の緊急連絡担当者へ緊急連絡を行う。
(2)JJCの個人部会会員への緊急連絡
JJC事務局から携帯電話のSMS一斉送信によって、会員へ緊急連絡を行う。
本件サービスの提供を受けるためには、事前に携帯電話番号を JJC事務局に登録しておく必要があるので、詳細は同事務局に問い合わせること。
(3)ジャカルタ日本人学校(JJS)連絡網
JJSから児童・生徒の家庭への連絡網。
(4)ホテル連絡網
ジャカルタの主要ホテルに大使館(総領事館)から直接連絡。
(5)各地方日本人会への連絡網
バンドン、ジョグジャカルタ、ソロ、スマラン、パレンバン、ランプン、ポンティアナック各地の日本人会を通じ連絡。
(6)総領事館のEメール、FAX配信サービスによる連絡
事前に登録(在留届の提出(Eメールアドレス記入有)又はメールマガジン登録)をされた方々に、総領事館から直接E・メール、又はFAXにより「総領事館からのお知らせ」等の情報を配信。
(7)その他
JJCに加入していない会社、団体等については別途連絡。
2.「インドネシアの治安情報」の入手方法
治安の著しい悪化や災害、騒乱その他の緊急事態が発生したり、発生の可能性が高まっていると判断される場合は、大使館(総領事館)から前記連絡網により必要な情報を連絡する。
その他、次の方法により情報を入手することができる。
○在インドネシア日本国大使館インターネット・ホームページ
http://www.id.emb-japan.go.jp/index_jp.html
○ジャカルタ・ジャパン・クラブ(JJC)インターネット・ホームページ
http://www.jjc.or.id/
○ジャカルタ日本人学校(JJS)インターネット・ホームページ
http://www.jjs.or.id/
○外務省インターネット・ホームページ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/
○外務省領事局海外邦人安全課
TEL:(03)3580−3311(外務省代表)
(03)5501−8160(直通)
FAX:(03)5501−8156
○外務省海外安全相談センター
TEL:(03)3580−3311(内線2902、2903)
(03)5501−8162(直通)
FAX:(03)5501−8161
○NHK国際放送の最新周波数表等は、NHKのホームページで入手できます。
http://www.nhk.or.jp/nhkworld/japanese/
3.緊急連絡先一覧表
(1)大使館、総領事館
・在インドネシア日本国大使館、在ジャカルタ日本国総領事館
TEL:代表(021)31924308
夜間・休日に緊急な用件のある方は、代表電話番号にお電話の上、音声メッセージに従ってください(以下の各総領事館とも同様です)。
FAX:大使館代表(021)31925460
FAX:総領事館代表(021)3157156
・在マカッサル出張駐在官事務所
TEL:(0411)871030、872323
FAX:(0411)853946
・在スラバヤ日本国総領事館
TEL:(031)5030008
FAX:(031)5030037
・在デンパサール日本国総領事館
TEL:(0361)227628
FAX:(0361)265066
・在メダン日本国総領事館
TEL:(061)4575193
FAX:(061)4574560
(2)ジャカルタ・ジャパン・クラブ(JJC)
TEL:(021)3150418
3141708(EXT.2311)
FAX:(021)31925902、3150817
(3)ジャカルタ日本人学校(JJS)
小・中学部
TEL:(021)7454130〜4
FAX:(021)7454139/40
幼稚部
TEL:(021)74867906
FAX:(021)74867905
4.警察・消防・高速道路関係 (ジャカルタ市外局番 021)
(1)警察/POLISI 〜 24時間
・ジャカルタ警視庁/Polda Metro Jaya 〜 ジャカルタ全域
TEL:5234558(外国人事件担当)
523−4000(Information)
5234313、5234045(siaga operasi)
・南ジャカルタ警察署/Polres Jakarta Selatan 〜ジャカルタ南部全域
TEL:7206012、7206013
・クバヨラン・バル地区派出所/Polsek Metro Kebayoran Baru
TEL:7393234
・クバヨラン・ラマ地区派出所/Polsek Metro Kebayoran Lama
TEL:7203232、7393090
・スティア・ブディ・クニンガン地区派出所/Polsek Setia Budi, Kuningan
TEL:5250072、5273601
(2)消防/PEMADAM
・ジャカルタ南部 TEL:7694519、75911050、
7515054、75818117
・ジャカルタ中央 TEL:6311216、6344215
6328469、6328576
・ジャカルタ北部 TEL:43931063、43910406
・ジャカルタ東部 TEL:8582150、85904904、
8193113
・ジャカルタ西部 TEL:5682284
(3)救急車/Ambulans
TEL:118
65306381、65832681、65303118(24時間)
64717089(08:00〜16:00)
FAX:64715652
(4)高速道路(交通情報)/Jasa Marga
・本部(Head Office) TEL:8413526
・チリリタン/Cililitan TEL:8011735
・チカンペック/Cikampek TEL:8226666
70247709
・チャワン~トマン間/Cawang-Tomang TEL:80887227
・ジャゴラヴィ/Jagorawi TEL:98177777
・クボンジュルック〜タンゲラン〜メラック間
/Kebonjeruk-Tangerang-Merak TEL:98199999
・チャワン〜タンジュンプリオク間
/Cawang-Tanjung Priok TEL:6518350
(5)交通情報(ラジオ)/ Radio Sonora (FM 100.90)
TEL:6335450(main number)、6337783
(6)スカルノ・ハッタ空港 フライト・インフォメーション
TEL:5505308〜09、5505179
(7)タクシー
シルバー・バード TEL:7981234
ブルー・バード TEL:7941234、79171234
5.一口会話
強盗 PERAMPOKAN (プランポカン)
泥棒 PENCURIAN (プンチュリアン)
殺人 PEMBUNUHAN (プンブヌハン)
スリ COPET (チョペット)
引ったくり PERAMPASAN (プランパサン)
誘拐 PENCULIKAN (プンチュリカン)
火事 KEBAKARAN (クバカラン)
デモ UNJUK RASA (ウンジュック・ラサ)
暴動 KERUSUHAN (クルスハン)
HURU-HARA (フルハラ)
排斥運動 SWEEPING (スウィーピング)
喧嘩 TAWURAN (タウラン)
助けてください。
TOLONG!
(トローン!)
どろぼうです。 警察を呼んで下さい。
MALING! TOLONG PANGGILKAN POLISI.
(マリーン! トロン パンギルカン ポリシ。)
病気です。救急車を呼んでください。
SAYA SAKIT. TOLONG PANGGILKAN AMBULAN.
(サヤ サキット。トロン パンギルカン アンブーラン。)
火事です。
KEBAKARAN!
(クバカラン!)
日本大使館に連絡してください。
TOLONG HUBUNGI KE KEDUTAAN JEPANG.
(トロン フブンギ ク クドゥタアン ジュパン。)
「情報提供デスク」としてのJJC
ジャカルタ・ジャパン・クラブ(JJC)は、ホームページのほか、「報提供デスク」として、大使館及び総領事館と緊密な連携を図りながら、 | |
○ | 法人会員向けには、E・メールによりデモ情報等の治安情報をリアルタイムで提供。 |
○ | 個人会員向けには、原則として月1回、治安情報を始めとして、医療等の生活安全情報を郵送する等、在留邦人の方がジャカルタで安全に生活するために常に必要な各種情報を提供し、啓発活動を行っています。 |