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EKB62(その1):大きな将来性と渋滞2017年5月19日 在インドネシア日本大使の石井です。5月18日にジョコウィ大統領に信任状を提出し、正式に大使としての活動を開始しました。 まずは、新しい試みの一つとして、大使館のホームページに、私のエッセーのコーナーを作ることにしました。題して、「EKB62」。これは、私のモットーである、インドネシアの人々や在留邦人の皆様と「共に働く大使館(Embassy - Kerja Bersama)」の頭文字をとったものです。そして、現在大使館で働いている62人の日本から来ている館員全員で皆さんと共に働きたい、という思いを込めて、EKB62としました。 今後、1ヶ月に1回程度の頻度で、その時々に感じたことについて書いていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 大きな将来性大使館のHPをご覧頂いている皆さんには釈迦に説法ですが、インドネシアは、本当に大きく、将来性のある国です。 面積は190万平方キロメートルで、日本の5倍強。世界の中では15位(日本は62位)ですが、何と言っても、1万4000を超える島々を擁し、横幅がすごい!飛行機で端から端まで移動するのに8時間かかり、国内の時差は3時間。西の端のスマトラ島アチェから東の端のパプアのジャヤプラまで5100km以上ですが、これは、アメリカ合衆国の幅とほとんど同じですし、これを南北に伸ばすと、何と!ジャカルタから丁度鹿児島市まで届きます。 人口は世界4位の2億6千万人前後。毎年300万人以上増加していますし、平均年齢は29歳。日本は、未だ世界10位の1億2600万人強の人口ですが、ここ数年間は毎年10万人前後の人口減少を経験し、平均年齢は46歳。国の「勢い」は、大分違います。 隔世の感![]() しかしながら、視点を変えると、私が初めてジャカルタを訪れた1999年当時のインドネシアの一人当たりGDPは671ドル強(IMF)。それから20年も経たない内に、一人当たりのGDPは5倍以上になったことになります。 今回、久々にインドネシアを訪れ、色々な問題はあるとはいえ、人々の生活は、確実に豊かになりつつあると実感しています。インドネシアは、これから20年程度は人口ボーナスが続くといわれています。この20年程度が、インドネシアが、その潜在力を生かせるかどうかのカギとなるのです。 1999年は、インドネシアの政治も、色々な困難を抱えている時期でした。1998年の暴動、スハルト政権の退場、東ティモールの独立などの激動の中で、民主主義の導入はなかなか一筋縄ではいきませんでした。しかし、現在のインドネシアは、制度としての民主主義は、もはや疑いのないほどに定着していると感じます。 一言で言って、久々に帰ってきたインドネシアは、隔世の感がある程大きく成長を遂げており、インドネシア・ファンの私としては、非常に誇らしく思っています。 渋滞、そして、渋滞![]() ジャカルタ市内の渋滞を緩和するために、既に専用レーンを持つバスが運行していますが、その結果一般車道が狭くなり、今のところ渋滞緩和には繋がっていません。そんな中、この渋滞緩和の切り札として期待されているのが、現在日本企業が中心となって建設を進めているMRT(一部地下鉄)です。 何を隠そう、ジャカルタは、世界の中で地下鉄の無い一番人口の多い首都圏です。地下鉄網ということで、首都ではなく首都圏でとらえると、世界最大の首都圏は東京・横浜の3780万人で、ジャカルタはそれに続く3050万人です。第三位のデリーは2500万人ですが、ここでは、既に2002年12月に地下鉄が走り始め、15年後の現在では、既に209kmの地下鉄網があります。第四位のマニラは2410万人で、地下鉄は現在2020年ころの開業を目指して計画中ですが、首都圏軽鉄道は既に1999年12月に開業し、現在は17kmの規模です。 ![]() このような努力が功を奏して、20年後には、インドネシアが異次元の成長を遂げる一方で、ジャカルタでは「渋滞はどこに行ったの?」という日が来ることを心から期待したいですね。 |