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在インドネシア日本国大使2月のハイライト(限られた中でも出来ることをやってます!)令和4年2月25日
![]() 感染拡大を受けて、予定していた行事が次々と延期やキャンセルになり、外交活動も再び難しくなった1か月でした。しかし、こうした時だからこそ、外交団同士で緊密に意思疎通することが重要と考えて、英国、フィンランド、コロンビア、スペイン、チェコ、スロバキア、ウクライナ、豪州、ブラジル、クロアチア、ペルー、モロッコ、アルゼンチン、イタリア、フランス、シンガポール、チリ他の大使と懇談しました。大きな関心の一つは2024年に向けてのインドネシアの首都移転への対応ですが、皆さん、未だ様子見の状況です。 なお,月末にはロシアによるウクライナ侵攻が発生しましたが,この地域にどのような影響を及ぼしていくのかも注視していきます。 1.今月の1枚 ![]() (西ジャワ州のワヤン・ウィンドゥ地熱発電所は広大な敷地の中でオペレーションが行われていますが、その中には見晴らし台も設置され、観光スポットにもなっています。この日はバリ島からバスで観光に来たインドネシアの方とも遭遇しました。) 2.コロナ対策 当地におけるブースター接種については、領事メールでもお知らせしたとおり、日本人を含む外国人にも3回目のワクチン接種券がアプリ「PeduliLindungi」を通じて発券されています。今後も新たな情報を随時、お知らせしていきます。ちなみに、21日には私もアプリを通じて3回目の接種券を受領しました。昨年の8月20日に2回目のシノバック・ワクチンを接種してからちょうど6か月を経過したところで接種券が届いたことになります。 9日、日本がUNDP経由で支援しているコロナ関連の経済回復支援プログラムのイベントに、アイルランガ経済担当調整大臣他と共にオンラインで参加し、ご挨拶しました。また、21日には、同じくUNDP経由で行っている中小零細企業の底上げに関するイベントがオンラインで行われ、ご挨拶しました。22日には、日本政府の拠出に基づきILOが主催する職場でのコロナ対策に関する「労働安全衛生に関するジャーナリズム・コンテスト」の表彰式に参加してご挨拶しました。インドネシアにおけるコロナの克服、そして経済回復に向けて、こうした地道な取組もやはり重要です。 3.西ジャワ州公式訪問 2日から4日まで、西ジャワ州を公式訪問し、リドワン・カミル州知事他との面談や、日系企業の活躍の現場を視察してきました。新型コロナ感染再拡大の初期段階だったので、ギリギリで実現することが出来て良かったです。リドワン・カミル州知事は、既に次期大統領・副大統領選挙への出馬を表明していますが、会談の中では日本との関係について資料をほとんど参照することなしに、的確に発言されていたことに印象付けられました。 西ジャワ州警察本部のスンタナ本部長にも表敬訪問し、日頃の在留邦人や日系企業の安全確保等に感謝しつつ、引き続きの支援をお願いしました。若い頃に日本警察で研修を受けた経験を有する同本部長とは、日本によるインドネシア国家警察支援プログラムの話でも盛り上がりました。 西ジャワ州の州都バンドンは、1955年にアジア・アフリカ会議(バンドン会議)が開催された歴史的な場所です。当時、日本との国交が開設される前だったにも拘わらず、インドネシアが日本を招待してくれたことで、日本の国際社会復帰に向けての機運が高まり、1956年には日本の国連加盟が実現しました。バンドン市を訪れるのは初めてでしたが、私にとっては昔から馴染みのある場所です。 なお、現地地方政府の関係者が、ジャカルタ・バンドンの高速鉄道に関連して、バンドン側の駅が市内から離れており、車で2時間近くもかかるので、高速鉄道が完成してもジャカルタへの行き来ではあまり時間の短縮にはならない・・・と漏らしていたのが興味深かったです。 4.日系企業との係わり エネルギー転換が日本とインドネシアの両国にとって大きな共通の課題である中で、西ジャワ州のワヤン・ウィンドゥ地熱発電所やラジャマンダラ水力発電所の現場で、日本企業がインドネシアの再生可能エネルギーに既に大きく貢献していることが実感できました。また、7日には、バンドン工科大学と三菱重工・三菱パワーとの産学協働に関する覚書の調印式にオンラインで出席しましたが、これもインドネシアにおけるエネルギー転換に貢献する取り組みです。 15日、トヨタ自動車による累計200万台の輸出達成と、豪州向けの輸出開始を記念する式典に参加しました。ジョコ大統領やアグス工業大臣他も出席し、それぞれご挨拶されましたが、輸出を重視するジョコ大統領のスピーチは、事前の原稿を離れて、大変熱のこもったものとなっていました。 24日、ジョコ大統領出席の下、MRT南北線フェーズ2のトンネル掘削工事開始の式典が行われて、ブディ運輸大臣、スハルソ国家開発企画庁長官、アニス・ジャカルタ首都特別州知事、ウィリアムMRTジャカルタ社長と共に出席しました。MRTが着実に進展しているのを目の当たりにすることが出来て、大変嬉しく思いました。 なお、24日にはシャープのカラワンにおけるエアコン新工場建設の式典に参加させていただく予定でしたが、残念ながら日程が錯綜したために代理出席とさせていただきました。 5.対外発信 14日、国際交流基金によるオンライン日本映画祭2022の開会式に参加して、挨拶しました。コロナ禍で日本に行くことが難しい中、「旅」がテーマになっていたのはタイムリーでした。映画はこれまで劇場で観るというより、出張のフライトの中で観ることが多かったですが、「羅生門」「南極料理人」「ハッピーフライト」といった懐かしい映画もラインナップされており、大変良かったです。 22日、1月に受けた雑誌Pajak誌のインタビューが記事として掲載されました(https://fliphtml5.com/bookcase/vnyvb、アルシャドKADIN会頭が表紙のPajak誌第95号24~27頁)。税務行政における協力を含めて日本とインドネシアとの経済関係、投資と税制の予見可能性・透明性の関係性を中心にお話ししましたので、御覧ください。 23日、天皇誕生日を祝賀するメッセージを発信しました。コロナの前は恒例になっていた祝賀レセプションは、現時点ではオミクロン株の拡大により開催が難しいので、メッセージをインドネシアの方に向けて出した次第です。 6.その他の活動 10日、新たに就任したアンディカ国軍司令官を表敬し、両国間の防衛協力・交流について意見交換しました。誠に流暢なアメリカ英語を話す方で、話の中身も大変オープンで直截なものでした。 18日、インドネシアにおけるバティックの復興と発展に尽力されてきた伊藤ふさ美さんの展示会を訪問しました。40年近くにわたりバティックの復興を通じてインドネシアの零細企業の雇用にも貢献されていることに改めて敬意を表します。 19日、Aula Simfornia Jakartaのクラシックコンサートを観に行きました。ジャカルタでこの種類のコンサートに行くのは初めてでしたが、大変すばらしい音楽ホールでの演奏で、また、コロナ禍にも拘わらず、演奏家も聴衆も感染対策に万全を期してコンサートを盛り上げていることが大変印象的でした。 (了)
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