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在インドネシア日本国大使月間雑記(2021年6月)令和3年6月29日
![]() 1.新型コロナウイルスへの対応 (1)危惧されていたとおり、当地ではレバラン後に感染が再拡大しことを受けて、皆様も日々の活動に大変苦労されており、中には止むを得ず一時帰国される方もおられます。大使館としては引き続き、出入国や活動制限などに関するインドネシア政府の発表を小まめに領事メールなどの形でお知らせしていきます。また、当地でのワクチン接種については現在、インドネシア商工会議所(KADIN)が展開している「ゴトンロヨン・プログラム」の一環で在留邦人の方々も接種の対象になっていますし、また、5月28日付けの保健大臣令で、在留外国人もワクチン接種の対象であることが正式に発表されました。加えて、日本政府も、海外に滞在する邦人の方々について一時帰国の機会を捉えてワクチンを接種していただく事業を8月1日から開始することになりました。今後とも皆さまにおかれては、一層の警戒心をもって活動いただけるよう、お願いします。 (2)新型コロナウイルスの関係では、これまで医療機材・物資の供与や技術協力、経済回復のための財政支援、そして、新型コロナウイルス克服の鍵とされているワクチンについて、COVAXファシリティを通じた供与、国際機関とJICAによる支援を組み合わせたコールドチェーン整備のための協力を行っています。更に、この度、日本政府保有のアストラゼネカ社製ワクチンをインドネシアに供与することになり、その第一弾として約100万回分のワクチンが7月1日に到着することになりました。 2.日本に関する対外発信の強化 (1)これまでも書きましたが、「インドネシアにおける日本の存在感が弱まっているのではないか」との意見を聞くことが増えています。確かに一理はあり、インドネシア側から発表される、日本からの投資金額に陰りが見られることは事実です。投資環境整備を働きかけて投資を促進することは引き続き重要ですが、同時に、直接投資についてはその時々の金額だけに着目するだけでなく、過去の実績や、それがインドネシアの経済発展にどのように役立ってきているのかを、今一度、インドネシアの方に理解いただくことも重要です。また、日本ブランドはインドネシアでの生活に事ほどさように根差しているので、日本の存在感の弱まりを憂う声は、日本に対する期待の大きさの裏返しだとも思います。これまでにも増して日本のアピールに努めていくことが、私の役割であることを痛切に感じています。そうした問題意識を踏まえて、5月10日、インドネシアの方に向けて、コンパス紙オンライン版に「日・インドネシア関係を再考する」と題する投稿を行いました。日本語の元原稿を大使館HPに掲載していますので、御参照ください。 (2)メディアとの関係強化という観点から、コンパス紙への投稿だけに止まらず、IDNメディアのオンライン・インタビュー(5月25日)、ジャカルタポスト紙への投稿(「インドネシアと共に健全な多国間主義を進める」。5月31日)、雑誌「HighEnd によるインタビュー(5月31日)、雑誌「NOW! JAKARTA」のインタビュー(6月9日)、MNCメディアセンターを訪問してのメッセージ録画とインタビュー(6月14日)、ジャカルタポスト紙のタウフィックラフマン編集長とのオンライン懇談(6月18日)などを実施しました。 (3)こうしたインタビューの中には、未だ掲載されていないものもあり、それらは追々掲載後にインスタなどで紹介したいと思います。日本の存在感を少しでも高めるべく、今後ともこうしたメディアとの意見交換を行っていきます。もちろん、こうした取組はオール・ジャパンで進めてこそ、より効果があります。日系企業の皆さんの活動を発信していく上で、大使館でお役に立つことがあれば、遠慮なく御相談ください。 3.国際機関事務所やその他の団体との連携 (1)インドネシアで効果的な活動を展開し、日本の存在感を高めていく上では、当地で活動する国際機関事務所や、その他の団体と連携していくことも重要になります。そうした観点から、ジュリアン国連常駐調整官との意見交換(オンライン、5月21日)や、国連人口基金(UNFPA)のセン代表との意見交換(6月3日)を実施しました。特に、UNFPAとは、新しいプロジェクト「Leaving No One Behind」の下で、新型コロナウイルスの影響で脆弱な立場にあるインドネシアの方への支援を行っていくことを発表しました。 (2)また、5月27日、インドネシア国家人口・家族計画庁が主催する「Ambassador Talk」にJICAや東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)の専門家と共に出席し、日本とインドネシアが抱える人口問題(高齢者の増加等)への取組について意見交換しました。更に、6月10日、防災に関するNGOセットワークであるアジア・パシフィック・アライアンス(A‐PAD)が主催するシンポジウムで挨拶し、今年が東日本大震災10年に当たることも踏まえて、様々な関係者と協力して災害に強い社会を築いていくことの重要性を強調しました。 (3)6月17日には、日本と長い友好関係にあるイスラム系社会団体ナフダトゥール・ウラマ(NU)本部で、サイド・アキル・シロジ総裁を表敬しました。実はNUとは、日本とインドネシアが国交を樹立する以前から友好関係にあります。今回の表敬の機会には、日本政府が行っている招待プログラムで訪日した、サイド総裁のお孫さんにも同席していただきました。また、6月24日には、同じくイスラム系社会団体ムハマディヤのハエダル・ナシール総裁への表敬も予定されています。ムハマディヤとも国交樹立以前から友好関係にあり、表敬では今後の協力についても意見交換しました。 4.文化やスポーツに関する活動 (1)当地を理解する上で、文化や芸術施設の訪問は欠かせません。新型コロナウイルスのために多くの施設が閉鎖されたりして、これまでなかなか機会が得られませんでしたが、5月21日に独立宣言起草博物館を訪問し、インドネシア独立の歴史について改めて理解を深めることが出来ました。また、6月8日には国立博物館を訪問し、インドネシア各地の文化的背景について学ぶことが出来ました。今後は、新型コロナウイルスの状況も見つつ、地方を実際に訪問して、現場を見ていきたいと思います。 (2)5月23日には、長年にわたって両国の友好関係の促進に貢献された加藤ひろあきさん、JKT48及びen塾の皆さんに対する在外公館長表彰式を公邸で行いました。本来であれば、多くの方にお声掛けして表彰式を実施し、皆さんと共にお祝いしたいところですが、今回は、新型コロナウイルスのために最小限の人数で執り行いました。また、表彰式に先だって、JKT48の公演も見に行き、新型コロナウイルスに負けずに頑張る姿に強く印象付けられました。 (3)来月にはいよいよ東京2020オリンピック・パラリンピックが行われます。残念ながら、今回は外国人旅行者の方に日本で競技を見ていただくことは出来ませんが、今、日本でオリンピックを安全、安心な形で開催することは、今後の世界における大規模なイベント開催にも貢献するものと思います。今後、大使館でもしっかりと広報活動を行っていきます。その先駆けとして、6月17日に、1992年のバルセロナ・オリンピックでインドネシア初の金メダルをバドミントンで獲得したスシ・サンティさん、アラン・ブディクスマさん御夫妻(お二人とも、バドミントンの金メダリストです!)にお目にかかりました。バドミントンでは、日本とインドネシアの好対決を期待したいですね。 5.今月の一枚 スシ・スサンティ、アランさん御夫妻と、東京2020オリンピック・パラリンピックを応援する写真を撮りましたので、御覧ください。 ![]() (了)
駐インドネシア日本国大使
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