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通り過ぎない嵐はない(コンパス紙、7月2日)7月2日付けコンパス紙に、新型コロナウイルス対応に関する協力についての金杉大使の寄稿が掲載されました。全文は以下のとおりです。 ![]() 対策の手を緩めてはならない。鍵はやはりワクチンだ。そして一部の富める者がワクチンを独占するのではなく、皆が等しく公平にアクセスできなければならない。 ワクチン支援 そのような観点から、日本はこれまでCOVAXファシリティに協力し、これを通じてインドネシアにも、安全、有効で、品質が保証されたワクチンをお届けしてきた。さらにこのたび、二国間でも供与を行うこととし、7月1日、100万回分のアストラゼネカ製ワクチンがジャカルタに到着した。 ワクチンがジャカルタの空港に集積しているだけでは意味がない。それはインドネシアの隅々まで届けられ、人々に接種されなければならない。そのような観点から、日本はインドネシア政府の保健デジタルシステム強化に協力し、またワクチンが適切な管理下で輸送・保管されるよう、コールドチェーンの整備を支援している。いわゆる「Last One Mile Support」だ。 そして、ワクチンは、全ての問題を解決できるわけではない。人々は引き続き保健プロトコルを守る必要があるし、それでも感染してしまう人は出るだろうから、医療体制の整備も引き続き必要である。日本は、これまで検査キットや人工呼吸器等の医療物資・機器の供与や、インドネシアの保健能力の強化のための技術協力を行ってきた。 困難な状況 日本の状況も厳しい。日本でもワクチン接種は急ピッチで進んでいるが、入国制限は続いており、私も多くのインドネシアの友人から「いつになったら日本に行けるんだ」と聞かれ、辛い気持ちになる。東京オリンピック・パラリンピックの成功は、テレビやオンラインで見届けてほしい。 それでも日本はインドネシアに協力する。新型コロナウイルスのパンデミックは一国の独りよがりでは克服し得ないからだ。そして日本とインドネシアの間には、長きにわたる友情があるからだ。 苦しいときでも、日本はインドネシアと共にあるということを、忘れないでほしい。通り過ぎない嵐はない(Badai pasti berlalu)。今、物理的には握手はできないが、心の手を取り合って、共に困難を乗り越えよう。 金杉憲治 駐インドネシア大使 >>>その他の寄稿文・挨拶 |