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在インドネシア日本国大使館
Embassy of Japan in Indonesia



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EKB62(その11);ジョグジャカルタに行ってきました!


2017年11月30日



古都ジョグジャ


    去る11月17日〜21日、ジョグジャカルタ特別州を公式訪問しました。ジョグジャカルタは、インドネシアの中でも特別な場所。古くからヒンドゥー・ジャワ文化の中心地として栄え、マタラム・イスラム王国が18世紀に分裂した後、ジョグジャカルタ王国の王都となり,独立戦争時代にはインドネシア共和国の首都にもなりました。先代のハメンクブウォノ9世は、その際の協力と功績が評価されて、ジョグジャカルタ特別州の知事として代を務めることを認められ、現在も、この州の知事にはスルタン家の方が就任しています。

    現在の州知事は、ハメンクブウォノ10世。表敬の機会を得ましたが、やはり、スルタン家直系を感じさせる方で、地元でも非常に尊敬されているのが良く分かりました。 

    ジョグジャカルタは、古都同士で、京都との間で長きにわたる姉妹都市の関係にあります。今回の訪問でも、関係者のご配慮で、京都西陣の織元が作成された美しいバティック柄の西陣織を、私の方から知事にお渡ししました。知事夫人(ということは、王妃)のお気に入りの柄だそうで、日本とインドネシアの文化が融合した、素晴らしいものでした。

    ジョグジャカルタは、最近は京都に留まらず、山梨や静岡とも文化、経済など幅広い分野で交流を深められているようです。知事ご自身も、年に何度も日本を訪問する大ファンで、来年の桜の咲くころにも訪日される予定が既にある由。ジョクジャカルタ州に滞在する125名の日本人の方々や2社の日本企業、更には日本人観光客の安全確保をお願いしたところ、快諾頂くと共に、日インドネシア外交関係60周年の祝賀に何か貢献したいので考えてみたい、との有難いお言葉を頂きました。


世界遺産を歩く


    ジョグジャカルタ特別州はジャカルタ首都特別州に次いで二番目に小さな州ですが、古都らしく、9世紀に建てられたヒンドゥー教と仏教が融合した世界遺産、プランバナン寺院を擁し、隣の中部ジャワ州にある、世界三大仏教遺跡の一つである世界遺産、ボロブドゥール寺院の玄関口になっており、数多くの観光客が訪れます。

    今回の公式訪問のきっかけは、毎年プランバナン寺院で行われるウォーキング・イベントである、ジョグジャ・ヘリテージ・ウォークに招待いただいた事です。このイベントは、日インドネシア外交関係50周年の祝賀を契機に2008年に開始され、今回は第9回目。プランバナン寺院の敷地周辺の5?q、10?q、20?qのコースなどの素晴らしいコースが用意され、今や、23カ国以上から参加する世界有数のイベントになっています。

    今回私は、知事他と一緒にスタートの旗を上げる役回りを頂き、その後、5?qのコースをゆっくりと歩き、プランバナン寺院を堪能しました。時間をかけて遺産を見ると、ヒンドゥー教と仏教が融合した、寛容に満ちた不思議な遺跡であることが段々と分かってきます。少し大げさかもしれませんが、インドネシアの今に生きる寛容のシンボル「パンチャシラ」精神の源流を見た気がしました。


ガジャマダ大学と日本語パートナーズ


    ジョクジャカルタのもう一つの注目は、インドネシアで一二を争う優れた大学であるガジャマダ大学の存在です。同大学は、約40の日本の大学と交流協定を結び、ここ5年だけでも40名を超える日本政府奨学生を送り出しています。現在のパヌット学長も、ジャガル副学長も日本留学OB。今回は、ジャガル副学長にお会いしましたが、私の故郷にある広島大学に留学された時の思い出話など、日本語で大いに盛り上がりました。同大学日本語学科では、毎年春に日本祭りを開催していますが、来年の60周年には一層盛り上げたい、と言って頂き、これから連携していくことになりました。

    日本は、従来からガジャマダ大学を色々な形で支援してきていますが、つい最近も、職業訓練、産学連携施設の充実を図るプロジェクトを開始しました。今回の訪問の際には、講演の機会も頂きましたが、その際の反応や質問に触れて、改めてガジャマダ大学の質の高さに感心しました。ちなみに、日本外務省のインドネシア語専門家の半数以上も、ガジャマダ大学で鍛えてもらっています。

    日本の協力と言えば、「日本語パートナーズ」というプログラムをご存知ですか?現地での日本語教育を支援するために若手日本人を中心とした人材を約一年弱派遣する事業で、ここインドネシアでは、毎年約150名の日本語パートナーズが各地で活動しておられます。今回、ジョグジャカルタで活動されている8名のパートナーズ全員とお会いする機会がありましたが、皆さん、苦労されながらも色々な工夫をして、日本語教育の最前線で頑張っておられることを伺い、非常に心強く思いました。





「SABO」(砂防)


    最後に、驚き、感動した話を一つ。ジョクジャカルタ近郊には、メラピ火山があります。富士山に似た美しい山ですが、今でも10年に一回程度噴火する活火山で、前回2010年大噴火の際には、火砕流が15?qも山を駆け下り、300名を超える方々が犠牲になりました。

    日本は、1970年から、専門家を派遣するなどメラピ火山の土石流対策を含む砂防事業を支援してきています。現在も2010年大噴火で被害を受けた砂防施設の復旧・改善などの事業が最終段階を迎えているところです。今回その内一か所を視察させていただきましたが、施設の素晴らしさや、そこで活動する日・インドネシア双方の専技術者の方々の熱意に感銘を受けました。

    ただ、それ以上に感動したのは、市内に「SABO通り」という名前の通りがあること。今や当地では、「SABO」は、現地語になっているのです!そして、2005年に建てられた日インドネシア砂防協力の記念碑が2010年の大噴火で土石流に埋まり、それがまた今回の改修事業で見つけられて、再建立されたというエピソード。更には、2010年大噴火の際のデータは、日本での火山噴火対策に生かされている、という話。正に、”Kerja bersama, Maju Bersama”を地で行く話で、心から感動しました。

    これからも、インドネシアのあちこちで、沢山の感動を見つけて、皆さんにご報告したいと思います。