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在インドネシア日本国大使月間雑記(2021年8月)令和3年8月31日
![]() その後、23日に至って活動制限の下での感染リスクがジャカルタ首都圏についてレベル3に引き下げられたことを受けて、25日から、大使館の勤務体制も2チームによるスプリット制に復帰しました。今後は、新型コロナウイルスの感染状況を注視しながら、出来る限り通常の活動に戻していきたいと思っています。 1.新型コロナウイルス感染症への対応 緊急活動制限に伴って生じた、在留邦人のインドネシアからの出国に関する障害については、先月中にほぼ取り除くことが出来ました。また、日本に帰国する際の定期便の予約が徐々に可能になったことに伴い、先月から運航していた「特別便」については8月15日の便が最後となりました。特別便の運航に携わった航空会社(全日本空輸及び日本航空)他の関係者の皆様にお礼申し上げます。 積み残しになっていた、インドネシアへの入国や再入国に伴う規制については、当地の外交団とも連携してインドネシア政府に働きかけた結果、ほぼ解消することが出来たと思います。具体的には、インドネシアで1回目だけのワクチン接種を行った方の再入国も、制度的に手当てが出来ました。また、インドネシア国外滞在中にKITAS等の延長をインドネシア国内の代理人を通じて行う手続きも再開されました。 もちろん、従前に比べれば、ワクチン証明書の提示も含めて、インドネシア国内外で移動の自由がかなりの程度制約されている状況に変わりはありません。現在、一時滞在許可・定住許可の保有者などを除き外国人の入国は原則禁止されており、外国人の新規入国の緩和なども課題となっています。今後とも、不合理と思われる規制については、インドネシア政府に対して粘り強く申し入れを行っていきます。 当地における在留外国人向けのワクチン接種については、インドネシア政府も問題意識をもって取り組んでいる中で、接種の機会も徐々に増えてきました。しかし、日本で承認されているワクチン接種の機会が限られていることから、インドネシア政府との間で在留邦人の方への接種機会を拡大すべく調整を続けてきた結果、今般、アストラゼネカ社製のワクチン接種の機会が設けられることとなり、その旨を領事メールでお知らせしたところです。 なお、私自身は、当地の外交団向けのワクチン接種プログラムの下、8月20日にシノバックの第二回目の接種を終えました。日本で承認されているワクチンを接種することが出来れば、それに越したことはありませんが、現状で取り得る最善の選択肢として、シノバックを接種した次第です。(外交旅券等の保持者はNIK(住民登録番号)を所持していないため、街中で行われているワクチン接種プログラムには申し込むことが出来ないという制約があり、この点は、これまでのところ解決されていません。) 新型コロナウイルス感染症へのインドネシアの対応を支援するため、我が国はこれまで、ワクチン、人工呼吸器や検査キット等の医療物資の供与、保健・医療分野の技術協力、経済回復のための円借款の供与等を実施しています。直近では、酸素濃縮器2、800台の供与を決定しており、その第一弾が今月納入されました。 2.対外発信(独立記念日のお祝いなど) 7月23日から開催された東京オリンピックが、コロナウイルス感染症の中にも拘わらず、8日に無事、成功裡に終了したことについて、多くのインドネシアの方から温かいメッセージをいただきました。また、インドネシアの選手がメダルを獲得する度にインスタでお祝いのメッセージを発信しましたが、やはりバドミントン女子ダブルスでの史上初の金メダルは感動ものでした。24日に開幕した東京パラリンピックに関連しても、インドネシアから参加する23人の選手の活躍に注目して、このような発信を続けてきています。 17日の独立記念日には、オンラインでの大統領主催祝賀行事に出席しました。また、同日には、独立76周年をお祝いするメッセージをインスタで発信すると共に、TVRI、iNewsといったメディアからの依頼を受けて、祝意のメッセージを発信させてもらいました。なお、前日の16日には、国会で行われたジョコ大統領による国政演説をオンラインで傍聴する機会がありましたが、オンラインの特性も生かして、英語の同時通訳の音声も設定されていたので、臨場感を持って聴くことが出来ました。 日本と長い友好関係にあるイスラム系社会団体であるナフダトゥール・ウラマ(NU)の本部を6月に表敬訪問した経緯がありますが、その際のやり取りも踏まえて、今般、NUからオンラインでのインタビューの依頼があり、インドネシアのイスラムと日本との交流の歴史や、今後の取組についてお話ししました。その模様はNUのチャンネル(https://youtu.be/wWLD79lt_-M )で御覧いただけます。 また、日本がインドネシアのイスラムとの交流を、そしてそれを超えてグローバルなレベルでイスラム社会との協力をどのように進めてきたかについて論じた「日本-インドネシア・イスラム関係の可能性」と題する投稿を、NUのオンラインメディア、そしてもう一つの有力イスラム社会団体であるムハマディアのオンラインメディアに、それぞれ掲載してもらいました。日本語の原文は、大使館ホームページ( https://www.id.emb-japan.go.jp/about_jp_amb_muhammadiyah-nu.html)にも掲載しております。 3.企業・産業界との意見交換 1月の着任以降、コロナ禍でなかなか実現出来なかった日系企業訪問の一環として、感染症対策について万全を期した上で、19日、カラワンの工業団地にあるトヨタの車両工場やトヨタ・アカデミー、ダイハツのR&Dセンターなどを訪問しました。インドネシア政府の方針として電気自動車への移行が強力に推進されている中、日系企業も決して手をこまねいているわけではなく、むしろ過去の実績の上に、長期的な視野から電動化や人材育成、輸出拡大に積極的に取り組んでいることが改めて良く分かりました。また、トヨタがバリ島でカーシェアリングサービスの実証に使っている電気自動車にも試乗させていただきました。やはり現場に伺って、お話を直接聞かせていただくことは、私自身の理解を深める意味でも、大変役立ちます。最近の活動はオンラインが主体でしたが、今後は感染対策にも十分留意しつつ、こうした企業訪問などを積極的に実施し、大使館として日系企業の活動をしっかりとサポートしていきたいと思います。機会があれば、是非お声掛けください。 10日には元日本留学生のビジネス関係者により発足したIJBネット(Indonesia Japan Business Network)設立3周年のオンライン記念行事にアイルランガ経済調整大臣やヘリ・アフマディ駐日大使と共に出席し、基調講演を行いました。日本とインドネシアのビジネス関係者の橋渡しを行う地道な活動に改めて敬意を表するとともに、今後ともその取組を応援していきたいと思います。 12日には、新たに就任されたインドネシア商工会議所(KADIN)のアルシャド会頭をオンラインで表敬し、意見交換を行いました。駐米大使に転身するロサン前会頭と同様、日本との関係強化に大変意欲的であることを、心強く思いました。また、5日には、日本経済団体連合会の日本・インドネシア経済委員会の方々に向けて、インドネシアの政治・経済情勢についてオンラインでお話ししました。 4.今月の1枚 バドミントン女子ダブルスの金メダル、心から拍手を送りたいと思います。 ![]() (了)
駐インドネシア日本国大使
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