在留邦人の皆様へ:領事手続き




T. 平常時における安全対策
  1. 安全対策の基本的な心構え


  2. 一般犯罪被害に遭わないための対策


  3. 暴動、テロ事件に巻き込まれないための対策

  4. 誘拐被害に遭わないための対策

  5. 交通事故対策

  6. 災害に対する備え

  7. 旅行者に対する注意事項

U. 緊急事態への備えと対処要領

  1. 外務省の「渡航情報」について


  2. 平素の心構え


  3. 緊急事態が発生し、または発生するおそれがある場合の対応


  4. 退避、または出国等

V. 参考

  1. 緊急連絡網


  2. 「インドネシアの治安情報」の入手方法


  3. 緊急連絡先一覧表


  4. 警察・消防・高速道路関係


  5. 「情報提供デスク」としてのJJC

U.緊急事態への備えと対処要領

  1998年5月、ジャカルタを中心に各地で暴動が発生し、約9000人の在留邦人が、極めて短期日の間に、臨時便やチャーター便で国外に安全退避したことは、今なお私どもの記憶に残っています。私どもは、これら多くの貴重な体験を教訓とし、今後ともその危機管理に役立てていかなければなりません。

  インドネシアでは、依然として民族・宗教間の対立等に端を発する事件が各地で散発しており、今後の政治・経済情勢の如何、特に2004年の正副大統領選挙や国政総選挙の実施、また、その結果如何によっては、様々な動きが活発化する可能性が種々あるものと思われます。こうした情勢の中、各種の緊急事態に常日頃から備えておくことは、インドネシアで暮らす上での必要不可欠な要素と言えるでしょう。ここでは、そうした準備や緊急事態への対処の上で参考となるよう、一応の基準と心構えを記しました。

1.外務省の「渡航情報」について

  外務省は、従来の5段階の危険度の数字表記の「海外危険情報」を廃止し、平成14年4月26日より、(1) 海外では自分の身は自分で守る、(2) 渡航・滞在者の側にたった情報を提供する、(3) 海外での安全に関する情報を統合・整理する、及び(4) 危険度の数字表記を廃止することとし、それぞれの旅行先の国や地域の治安状況については、それぞれの情勢に応じた4段階の具体的な文章表記にすることとしました。即ち4段階の具体的な文章表記、「十分注意して下さい」、「渡航の是非を検討して下さい」、「渡航の延期をおすすめします」、及び「退避を勧告します」で示すこととしました。それぞれの趣旨は次のとおりです。

  • 「十分注意して下さい」
    当該国(地域)への渡航、滞在に当たって特別な注意が必要であることを示し、危険を避けるようにすすめるもの。

  • 「渡航の是非を検討して下さい」
    当該国(地域)への渡航に関し、渡航の是非を含めた検討を真剣に行い、渡航する場合には、十分な安全措置を講じることをすすめるもの。

  • 「渡航の延期をおすすめします」
    当該国(地域)への渡航は、どのような目的であれ延期するようすすめるもの。また、現地に滞在している邦人に対しては退避の可能性の検討や準備を促すもの。

  • 「退避を勧告します」
    現地に滞在している全ての邦人に対して当該国(地域)から、安全な国(地域)への退避(日本への帰国も含む)を勧告するもの。



2.平素の心構え

(1)情報入手方法の確立

緊急事態の発生時は、いかに正確な情報を入手し得るかが重要な鍵となる。平素から、各種情報の入手先を確認したり、ジャカルタ・ジャパン・クラブへ加入して素早く適切な情報を入手出来るようにするなど、情報の入手方法を確立しておく。

(イ) 緊急事態発生時の最後の安否確認の方法は、滞在する皆様から提出していただいた「在留届」が基礎となります。「在留届」は、外国で滞在する際のいわば住民登録であり、3ヶ月以上滞在する予定のある方は、必ず総領事館に提出して下さい。また、転居、転職、出生等による家族の異動事項が生じた場合には「記載事項変更届」を、更に帰国の際には「帰国届」をそれぞれ提出するようにして下さい。

(2)旅券等の管理

旅券、出国・再入国許可証、警察登録証明書(SKLD)、滞在許可証(KITAS)等は、いつ何時でも持ち出せるようにしておく。また、旅券の有効期限が常に6ヶ月以上であることを確認しておく。

(イ) 滞在許可、出国・再入国許可取得手続き等のため、入国管理局に旅券を預け入れしている間に緊急事態が発生し、急遽本邦へ引き揚げる必要が生じた場合、総領事館では旅券に代わる「帰国のための渡航書」を発給することも出来ますが、そのような場合には相当の混雑も予想されますので、入国管理局での手続きは、平常時から早め早めに対応するようにして下さい。

(ロ) 長期滞在者は、出国に際し、「滞在許可証」を所轄の移民局へ提出し、「出国許可証(Exit Permit)」を取得しなければなりません。また、後日、再入国するためには、「再入国許可証(Re-entry Permit)」も必要です(短期滞在者については、「滞在許可証」の取得手続きは不要であり、従って、出国の際の「出国許可証」の取得も必要ありません)。なお、緊急事態発生時に「出国許可証」の取得が困難な場合には、総領事館に相談して下さい。

(3)備蓄品、緊急持出し品等の準備

(イ)食料、飲料水
  状況によっては、買い物のための外出が困難になり、あるいは、しばらくの間自宅で待機する方が安全なことも予想されるので、10日間位の生活が出来る程度の食料、飲料水の備蓄を心掛ける。

(ロ)金銭
  事態の緊迫により、銀行の閉鎖が予想されるので、国外退避のための金銭(外貨並びに出国税100万ルピア及び空港使用料10万ルピア)を準備することを心掛ける。

(ハ)短波ラジオ等の持出し品
  事態が悪化してくると、NHKの短波放送により治安状況が放送されるので、予め短波ラジオ(予備電池を含め)を準備し、日本語放送の周波数や放送時間帯を確認しておく。救急薬品や懐中電灯等、緊急時に持ち出すものについては、平素から整備し、保管場所を確認しておく。

(ホ)給油
  自動車は常に整備し、燃料は早め早めに給油しておく。

(4)その他留意すべき事項

(イ)オープンチケットの準備
  98年5月の暴動の際には、航空会社の発券カウンターではチケット購入のための長蛇の列ができ大変混雑したことから、状況の緊迫が予想される場合には、事前にオープンチケットを購入し、早めに予約を入れるなど、先を読んだ策を講じる。

(ロ)家族間の連絡体制
  家族のその日の行動は家族全員が相互に把握しておくとともに、家族にも携帯電話を用意するなど、いつでも連絡がとれるような策を講じる。

(ハ)保険への加入
  海外傷害保険、火災保険、盗難保険、自動車保険等に加入しておく。