2007年7月6日
インドネシアに対する無償資金協力(4案件)
わが国政府は、インドネシア共和国政府に対し「グヌンキドル県水道整備計画(第2期)」、「遠隔地ラジオ放送網拡張計画」、「東西ヌサトゥンガラ州地方給水計画」及び「持続的沿岸漁業振興計画」の実施に資することを目的として、総額23億700万円を限度とする額の無償資金協力をそれぞれ行うこととし、このための書簡の交換が、7月6日(金)、ジャカルタにおいて、わが方海老原紳駐インドネシア日本国大使と先方プリモ・アルイ・ジュリアント外務省アジア・太平洋・アフリカ総局長との間で行われた。
(1)「グヌンキドル県水道整備計画(第2期)」
        (Water Supply in Gunungkidul Regency of Yogyakarta Special Territory)
        供与限度額:6億3,500万円
(2)「遠隔地ラジオ放送網拡張計画」
        (Expansion of Radio Broadcasting Coverage in the Remote Areas)
        供与限度額:3億5,700万円
(3)「東西ヌサトゥンガラ州地方給水計画」
        (Rural Water Supply in the Province of Nusa Tenggara Barat and Nusa Tenggara Timur)
        供与限度額:2億4,500万円
(4)「持続的沿岸漁業振興計画」
        (Promotion of Sustainable Coastal Fisheries)
        供与限度額:10億7,000万円
2.プロジェクトの概要
(1) | 「グヌンキドル県水道整備計画(第2期)」
  インドネシアの中期国家開発計画では、同国の重要課題の一つとして、「質の高い保健に対する国民アクセスの向上」を目標に掲げており、衛生環境プログラムの中で、清潔な水と基本衛生設備の提供等を定めている。
  ジョグジャカルタ特別州の南部に位置するグヌンキドル県では、安全な水を入手できる住民は人口の約30%程度であり、6人に1人が下痢等の水因性疾病の患者となっている。衛生面の改善、特に給水設備の整備は最重要課題となっている。特に、乾期においては水不足が著しく、給水制限により10日のうち8日間が断水しており、住民の多くは高価な水の購入や河川や浅井戸などの不衛生な水の使用を余儀なくされている。
  このような状況の下、インドネシア政府は、グヌンキドル県南西部における給水施設の整備及び給水設備の機材の操作指導及び給水施設の運営維持管理能力の養成のために必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請した。
  本計画の実施により、対象地域の住民約93,800人が安全な水を安定的に入手可能と見込まれており、この結果、水因性疾病の減少や生活環境改善が期待される。また、水汲み労働の緩和も期待される。
|
(2) | 「遠隔地ラジオ放送網拡張計画」
  インドネシアは多民族国家であり、約15,000の島々からなる広大な領土を有しているため、国家統合の手段(インドネシア語の普及、情報の迅速な伝達等)として、ラジオ放送が大きな役割を果たしている。
  しかし、貧困地域である東カリマンタン州タラカン県及び中部スラウェシ州トリトリ県においては、隣国のマレーシアやフィリピンの放送しか受信できず、インドネシア国内で情報格差が生じている。
  このような状況の下、インドネシア政府は、中波ラジオ放送(AM)を受信できない東カリマンタン州タラカン県及び中部スラウェシ州トリトリ県においてラジオ送信施設を整備するため、必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請した。
  今回の支援により、隣国のマレーシアやフィリピンの放送しか受信できない同地域において、約67万人が中波ラジオを聞くことができるようになるとともに、インドネシアラジオ公共放送の全放送局(58放送局)において、中波ラジオ放送設備が整備され、全国で中波ラジオ放送サービスを提供することができるようになる。
|
(3) | 「東西ヌサトゥンガラ州地方給水計画」
  インドネシアの中期国家開発計画では、同国の重要課題の一つとして、「質の高い保健に対する国民アクセスの向上」を目標に掲げており、衛生環境プログラムの中で、清潔な水と基本衛生設備の提供等を定めている。
  東西ヌサトゥンガラ州はインドネシア国のなかでも最貧地域であり、安全な水を入手できる住民は人口の約50〜60%にとどまっている。
衛生面の改善、特に給水設備の整備は最重要課題となっている。
  このような状況の下、インドネシア政府は、東西ヌサトゥンガラ州の3県6村落における給水施設の整備(計画給水人口 20,000人)に必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請した。
  本計画の実施により、対象地域(東西ヌサトゥンガラ州内の6村落)の住民約20,000人が安全な水を安定的に入手可能と見込まれており、この結果、水因性疾病の減少や生活環境改善が期待される。また、水汲み労働の緩和も期待される。
|
(4) | 「持続的沿岸漁業振興計画」
  インドネシア政府は海洋水産中期戦略において、「水産業の再活性化」、「地域社会の水産物アクセス改善」、「水産業の持続的推進と水産インフラ整備」及び「水産資源・環境の保全・管理の推進」の4点を基本戦略としている。
  東ヌサテンガラ州東フローレス県ラランツカ郡は、東ヌサテンガラ州の州都があるクパン県に次いで漁獲量が多い地域であり、漁業資源の開発レベルは約30%と将来発展の余地を残しているが、水産基盤施設が整備されておらず、漁業者、流通業者等は非効率な活動を強いられている。
  このような状況の下、インドネシア共和国政府は、水産基盤施設整備のために必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請した。
  今回の支援により、漁獲物の効率的な水揚げ、漁船への氷・燃料の効率的かつ安価な補給が可能になるとともに、漁獲物の鮮度が向上するなど、生産者、消費者ともに利益を得ることが可能となり、地域開発に貢献する事が期待されている。
|
3.日本政府はインドネシアに対する最大の援助国として、引き続きインドネシアの開発のための改革努力を支援していく考えである。
|