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在インドネシア日本国大使館
Embassy of Japan in Indonesia



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2010年3月26日

平成21年度対インドネシア経済協力(円借款・無償資金協力)の供与について



1.    日本政府は、平成21年度対インドネシア経済協力として、総額1,139億4,400万円を限度とする円借款と、総額50億8,300万円を限度とする無償資金協力を供与することとした。このうち、昨年12月に供与済のものを除く新規供与分に関する交換公文の署名が、3月18日(木)、ジャカルタにおいて、塩尻孝二郎駐インドネシア大使とハムザ・タイブ外務省アジア・太平洋・アフリカ総局長との間で行われた。

2.    対象案件及び供与限度額等

 (1)円借款
案件名 供与限度額
(百万円)
?@ジャワ・スマトラ連系送電線事業〔1〕 36,994
?Aルムットバライ地熱発電計画 26,966
?Bマミナサタ広域都市圏廃棄物管理事業 3,543
?C第二次気候変動プログラム・ローン [09年12月に供与済] 37,444
?D第六次開発政策円借款 8,997
平成21年度円借款供与総額
(今回新規供与分)
113,944
(76,500)
 
 
 (2)無償資金協力
案件名 供与限度額
(百万円)
?@第二次西ヌサトゥンガラ州橋梁建設計画[09年12月に供与済] 492
?Aニアス島橋梁復旧計画[09年12月に供与済] 1,522
?B西スマトラ州パダン沖地震被災地における安全な学校再建計画 549
?C森林保全計画 1,000
?D気候変動による自然災害対処能力向上計画 1,000
?E貧困農民支援無償 520
平成21年度無償資金協力供与総額
(今回新規供与分)
5,083
(3,069)

3.各協力事業の概要


(1)ジャワ・スマトラ連系送電線事業〔1〕
供与限度額 : 369.94億円
金利 : 1.4%
償還(据置)期間 : 30(10)年
調達条件 : アンタイド
事業概要 :
  本事業は、ジャワ・バリ系統及びスマトラ系統において、送電線、直流を交流に変換する変換所の新設等を行うことにより、両系統の電力需給逼迫の緩和及び供給の信頼性向上を図ることを目的とするものである。これによりジャワ、バリ、スマトラ地域における電力供給の安定性の改善が期待される。
  本事業を円滑に実施するための詳細設計等に関するエンジニアリング・サービスについては既に平成20年度に円借款を供与しており、今回は第一期建設に関する事業費について円借款を供与するものである。
 
(2)ルムットバライ地熱発電計画
供与限度額 : 269.96億円
金利 : 0.3%
償還(据置)期間 : 40(10)年
調達条件 : アンタイド
事業概要 :
  インドネシアは、増大する電力需要の伸びに対応するとともに、気候変動の影響に対する緩和策の一環として、再生可能エネルギー開発促進を含むエネルギー多様化政策を進めている。特に、地熱発電については、世界最大となる約27,000MWのポテンシャルを有すると言われている。そうした中、インドネシア政府は本年1月に第2次電源開発加速化計画(通称:第2次クラッシュ・プログラム)を公表し、2014年末までに10,000MWの電源開発の目標を定め、そのうち約4割は地熱発電によるものとする予定。
  本事業は、上記第2次クラッシュプログラムの一事業である南スマトラ州に位置するルムットバライ1・2号機の建設、次期有望地点における試験井掘削等を行うものである。これによりインドネシアにおける電力供給の安定性の改善及び再生可能エネルギー開発の促進が期待される。
 
(3)マミナサタ広域都市圏廃棄物管理事業
供与限度額 : 35.43億円
金利 : 0.65%
償還(据置)期間 : 40(10)年
調達条件 : アンタイド
事業概要 :
  本事業は、南スラウェシ州の州都マカッサル市を中心とするマミナサタ広域都市圏(マカッサル市、ゴワ県、マロス県、タカラール県で形成)において、廃棄物の最終処分場を整備するとともに複数の自治体を対象とした広域廃棄物管理システムを導入するものである。本事業を通じ、同地域で発生する廃棄物の適切な処理の促進及び行政能力の強化を図ることで、地域住民の生活・衛生環境の改善、環境保全に寄与することが期待される。
 
(4)第二次気候変動プログラム・ローン[09年12月に供与済]
供与限度額 : 374.44億円
  〔内訳〕
    ?@ 気候変動対策円借款
    供与限度額:280.83億円
    金利:0.15%
    償還(据置)期間:15(5)年

    ?A 緊急財政支援円借款
    供与限度額:93.61億円
    金利:変動金利(円LIBOR(6か月))
    償還(据置)期間:15(3)年
調達条件 : アンタイド
事業概要 :
  本円借款は、インドネシアにおける気候変動対策を支援すること等を目的として、「鳩山イニシアティブ」の一環として実施されるものである。本円借款の供与により、両国間の政策対話を通じて、インドネシアが進める気候変動対策を支援し、同国における温室効果ガスの吸収・排出抑制が図られるとともに、気候変動の悪影響に対する適応能力を高め、リスクの回避及び軽減が図られることが期待される。
 
(5)第六次開発政策円借款
供与限度額 : 89.68億円
金利 : 0.7%
償還(据置)期間 : 15(5)年
調達条件 : アンタイド
事業概要 :
  本円借款は、インドネシア政府における経済成長及び貧困削減に向けた取組みを支援するため、世界銀行による第六次開発政策借款に対し協調融資されるものである。本円借款の供与により、インドネシアのマクロ経済、投資環境、財政状況等がより一層改善されることが期待される。
 
(6)第二次西ヌサトゥンガラ州橋梁建設計画[09年12月に供与済]
供与限度額 : 4.92億円
事業概要 :
  西ヌサトゥンガラ州は、インドネシアで最も貧困な地域の一つであり、スンバワ島は人口約120万人の島である。島内の道路インフラは島の北部の海岸線に沿って走る国道が唯一の幹線道路であり、その他の道路整備は十分ではなく、同島の経済発展の妨げになっている。南部地域のアクセス道路として南部地域を環状に結ぶ州道の南リング道路があるが、橋梁が未整備であるため、雨期には通行不可能となり、南部の東西方向の住民移動及び物流はほとんど出来ない状態である。
  本計画での橋梁の整備により、整備区間までは通年での交通が可能となり、地方の幹線道路としての機能が向上すると共に、地域住民の移動、物流経路が確保され、住民の生活の向上が期待される。
  なお、本計画区間の西側については、第一次事業により8橋梁を整備済みである。
 
(7)ニアス島橋梁復旧計画[09年12月に供与済]
供与限度額 : 15.22億円
事業概要 :
  ニアス島はスマトラ島の西約125kmに位置する人口約70万人の離島である。島の道路は、大きくは島全体を周回する3つの州道及び島の中央部を横断する1つの州道からなっている。同島は、北スマトラ沖地震・津波災害及びニアス島沖地震の二度の大地震に襲われ、島内で約2千人以上の犠牲者が出たと言われている。
  この地震により、ニアス島の主要都市であるグヌンシトリと南部の拠点都市テレクダラムを結ぶ主要幹線道路である75号線の橋梁に多数の被害が発生しており、現在も、破損橋梁を通行している状況にある。
  今回架け替える6橋のうち5橋は、州道号線に位置し、同路線は島内の幹線道路であり交通量が最も多く、同島の経済活動や住民の生活にとって重要性が高い。残り1橋は県道ではあるものの、グヌンシトリ市中心部に位置し交通量も多い。これらの橋梁の架け替えにより、島の復興に資する他、耐震性を備えた橋梁とすることにより、将来の災害発生時の避難経路、物流経路として機能することが期待される。
 
(8)西スマトラ州パダン沖地震被災地における安全な学校再建計画
供与限度額 : 5.49億円
事業概要 :
  2009年9月30日に発生した西スマトラ州パダン沖地震により、死者・行方不明者1,119人等の人的被害に加え、建築物も大きな被害を被った。多くの小学校・中学校も被害を受けており、全壊した小中学校は約2,300教室にも上り、現在仮設教室やテント教室の劣悪な環境での授業を余儀なくされている。
  本事業は、パダン市及びパダンパリアマン県で被災した小中学校を対象に耐震性のある安全な学校を再建することにより、教育環境を改善することを目的とするものである。
 
(9)森林保全計画
供与限度額 : 10.00億円
事業概要 :
  インドネシア共和国は、世界第3位の熱帯林面積を有しているが、森林火災、違法伐採、無計画な土地転用等により、毎年2%前後の森林が減少している。このような状況により、森林・土地利用分野からの温室効果ガス排出量は、インドネシア国内全体の排出量の46%と推計されており、森林の適切な管理は気候変動緩和対策としてきわめて重要となっている。本事業により、森林モニタリングの精度の向上、地元住民を中心とした植林活動の推進が図られることにより、インドネシアにおける森林管理の能力強化が期待される。
 
(10)気候変動による自然災害対処能力向上計画
供与限度額 : 10.00億円
事業概要 :
  インドネシアでは毎年各地で洪水被害が頻発し、今年2月には、西ジャワ州の洪水により住宅や工場の浸水、田畑の水没等大きな被害を受けている。今後更に気候変動に起因する豪雨の増加による洪水被害の拡大が懸念されている。
  本事業により、洪水被害の復旧や給水に必要な資機材等を支援し、洪水被害が軽減されることが期待される。
 
(11)貧困農民支援無償
供与限度額 : 5.20億円
事業概要 :
  インドネシア政府は食料安全保障の強化を目指して、国民へのコメの安定供給確保に一貫して取り組んできている。コメの収量を伸ばすためには、窒素、リン酸、カリウムといった主要な養分をバランスよく肥料として使用することが重要であるが、インドネシアではカリウム肥料については国内で生産できないために、入手が難しく、特に貧困農民のコメの収穫量に影響を与えている。
  本事業は、インドネシア政府がカリウム肥料を調達し、これを、貧困農民を対象に廉価に販売するための資金を無償資金協力により提供するものである。また、この肥料の販売による売り上げは、インドネシア政府によって積み立てられ、再び貧困農民の農業生産性向上を通じた所得向上のための自助努力に対する支援に充てられることになる。
  本事業の実施により、インドネシアにおける食料安全保障の強化と、貧困層の多くが暮らす農村部における農家所得向上を通じた貧困削減が期待される。
 
4.「鳩山イニシアティブ」について
    上記各案件のうち、「第二次気候変動プログラム・ローン」(2009年12月に供与済)、「ルムットバライ地熱発電計画」、「森林保全計画」、「気候変動による自然災害対処能力向上計画」の各案件は、インドネシア政府がコペンハーゲン合意への支持をいち早く表明したことを日本政府として高く評価し、「鳩山イニシアティブ」の一環として実施されるものである。
    「鳩山イニシアティブ」は、2009年9月の国連気候変動首脳会合の場で日本政府の鳩山由紀夫首相が提唱した構想であり、日本政府は、同構想に基づき、気候変動問題への適応・緩和のための途上国支援として、2012年末までの約3年間で約150億ドルの支援を行うことを表明している。